気象庁「生物季節観測」の大幅縮小、原因は予算? 今後に期待されるのは…
カズレーザー著のクイズ問題集にも掲載されている「生物季節観測」。来年1月からは大幅に変更される予定も。
気象予報士の千種ゆり子です。
10月末、芸能界最強のクイズ王、メイプル超合金のカズレーザーさんが初の著書『カズレーザーが解けなかったクイズ200問』を発売。クイズ番組での共演をきっかけにカズレーザーさん主催のクイズ勉強会に参加させて頂いており、先日著書を頂きました。
その中に1問お天気クイズがあり、気象庁は桜の開花以外にも様々な動植物の観測(生物季節観測)を行っていることが紹介されていますが…。カズレーザーさん、残念。じつは、その問題、もう来年の1月から使えなくなります。
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■大幅縮小の原因は予算?
気象庁は11月10日、生物季節観測の大幅縮小をホームページ上で発表しました。2021年1月以降、植物に関しては6つに限定、動物は全て廃止されます。これについて気象庁は、周辺に標本木を確保することが難しくなってきているためだ、などと説明しています。
この件について、TBS『Nスタ』に出演中の気象予報士・森田正光さんは「動物季節観測の全廃止はやりすぎだ」「率直に言って、そこまで予算に困っているのか!」と怒りをあらわにしています。
森田さんの質問に対し気象庁は「予算が厳しいためではない」と回答していますが、気象台の構内や周辺などに標本木を設置することくらい、やる気になればできるはず。やはり私も、お金がないんだな…と思ってしまいます。
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■至上命題は「気象災害から人の命を守る」
近年の気象庁の動きから私が感じるのは「“人の命を守るという至上命題”に絞って、限られた予算と人員を割く」という姿勢です。
気象庁×人の命を守る、という観点でまず思い浮かぶのは、台風や大雨などによる気象災害や気象防災でしょう。
気象予報精度向上のためのモデル開発、予報を市民に伝える伝達網の整備など、課題が山積しています。「市民の命を守る気象庁にもっと予算を回せ!」と言いたいところではありますが、気象庁は限られた予算の中で「集中と選択」を迫られていると思います。
気象キャスターとしては、放送やコラムで扱ったことのある項目も多いですので、もう少し残してほしかったなというのが正直なところですが、気象災害の激甚化・緊縮予算などの直接的背景、はたまた人口減少やデジタル化という社会の流れから考えると、仕方ないことだと私は思います。