鉗子分娩で頭部を強く引っ張られた赤ちゃんが死亡 母親にリスクの説明はなし
「絶対に大丈夫。無事に済む」とは、誰も断言できないお産。だからこそ、実績も豊かな熟練した医師の元で産みたいという女性は多い。
お産は、陣痛の波がかなり激しくなっても、そこから赤ちゃんが誕生するまでにどれほどの時間を要するのか、誰にも予想がつかない。
赤ちゃんを早めに取り出さなければ母子の健康を確保できない、そんな事態に陥ることもしばしばだ。だからこそ医師はその時、続いてどのような方法を採り、そのリスクについても母親に知らせる義務があるはずだ。
■出血性ショックで死亡
2019年11月、英国・エセックス州のチェルムズフォードにある地区総合病院「ブルームフィールド・ホスピタル」の産科で、ひとりの赤ちゃんが帝王切開術の末に死亡した。
赤ちゃんの名はフレデリック・ジョセフ・テリーくん。死因は脳内出血を原因とする循環血液量減少性ショックだった。このほどその検死法廷が開かれ、遺体の検死にあたったキャロライン・ビーズリー・マレー氏が結果を報告した。
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■頭の中で大量出血
マレー氏は死因審問で、帝王切開術より前に、大型の丸いはさみで赤ちゃんの頭を挟んで引っ張り出す「鉗子分娩」が試みられたことに触れた。
鉗子分娩は、お産がスムーズに進まない時、母子の健康を守るうえで必要と判断された場合に限って行われる。しかしそれは、フレデリックくんの頭の皮膚下にある帽状腱膜、さらに頭蓋骨にダメージをもたらし、大量の脳内出血が出血性ショックにつながっていた。
「鉗子で頭部を挟む力、引っ張り出そうとする力が、あまりにも強かった可能性がある」と、マレー氏は指摘している。