劇場版『鬼滅の刃』が大ヒットした3つの理由 漫画・アニメ・映画の夢

『劇場版「鬼滅の刃」』が異例の大ヒットを見せている。その理由を原作ファン視点で分析。

2020/11/24 08:00


 

■それほど王道漫画ではない

本劇場版は、炎柱・煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)が重要人物。ちょうどこのキャラクターが中心となる部分を映画化したというのも巧みな企てである。

この場面は、『鬼滅の刃』という作品の中でも異例に王道漫画たる場面。そもそも『鬼滅の刃』はイメージほど王道漫画ではない。

「頑張れ炭治郎頑張れ! 俺は今までよくやってきた! 俺はできる奴だ!」と自ら鼓舞するシーンがあるなど、独特のセリフがもともと愛でられてきており、この点は作者のリスペクトする作品『ジョジョの奇妙な冒険』的でもある。


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■『鬼滅』の王道場面の映画化

本劇場版の煉獄の重要シーンや、柱や十二鬼月といういかにも少年漫画的なポジションのキャラクターが出てきた部分は、吾峠氏の作品を初期から見ていた視点からは「王道要素も入れてくるか」と意外性ある展開であった。

特に煉獄の重要シーンは、『鬼滅』における意外な王道シーンの最たるもの。その場面を中心に映画化することで、煉獄に焦点を当て、また煉獄の何気ないセリフ「よもやよもやだ」「穴があったら入りたい!」などを格好いい印象的な決めゼリフへと仕立て上げた制作スタッフの演出力は、極めて優れたものだ。


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③漫画からアニメへの超絶補完演出

主人公・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)の独特なセリフは本劇場版でも印象的なものが入っている。この独特なセリフも制作スタッフと声優の力によって、じつに感動的なものへと昇華。

本劇場版の煉獄のシーンは、『鬼滅の刃』において重要なシーンではあるが、必ずしも王道を好むわけではない原作者の嗜好も感じられ、あっさりとした部分もある。

しかしながら、優れた原作漫画『鬼滅の刃』をまるでネーム(設計図)に過ぎないかのように見事に補完しまくる劇場版アニメは、漫画のアニメ化の理想であり夢であると言っていいだろう。

ある種のバブル状態であるとはいえ、『劇場版「鬼滅の刃」』は、 漫画―アニメ―映画の新たなる夢と可能性を切り拓いたのかもしれない。

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(文/メディア評論家・宮室 信洋

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