ヒット作連発の脚本家・中園ミホに聞く、仕事における「恐怖」とは?
『ハケンの品格』『やまとなでしこ』など数々の大ヒットドラマを描いてきた中園ミホさん。自身の考える「恐怖」とは?
2020年9月に放送され話題になったNHK・Eテレの社会実験ドキュメント『サビ抜きで。』。
寿司からワサビを抜くように、「欠かせないもの」をあえて抜くことで新たな答えが出てくる。そんな新たな化学反応を実証するのがこの番組で、前回は師匠と弟子の関係に「ダメだし」を抜いたらどうなるか実験を行い注目を集めた。
1月3日に放送され、現在見逃し放送公開中の最新回は「おばけ抜きのおばけ屋敷」。収録直後、数々の名ドラマを生んだ脚本家で同番組レギュラーの中園ミホさんに「いま一番怖い物は何か」聞いた。
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■「恋愛ドラマ」の新たな形にヒント?
———番組では「日本人」は怖がりな遺伝子があると説明がありました。また想像力が恐怖を呼び起こすことも。番組の感想を教えてください。
中園:すごく面白かったです。もともと恐怖とか興奮といった感情に興味があるわりには、ホラー映画が一切見られないほど怖がりな性格。「なんで私は人よりこんなに怖がりなんだろう」という謎が解けた気がします。
人間の想像力とか人間性と今日は非常に強い関係があると解って、怖がりの人は逆に想像力豊かで、喜びも他の人より強く感じるのかもしれないと。そう考えると怖がりでも損することばかりではないのでは、と思いました。ちょっと自信がつきましたね(笑)。
———これまで数々の大ヒットドラマを書かれてきました。恐怖とかハラハラするシーンを意図的に入れることもありましたか?
中園:私はハラハラドキドキとかのシーンを描くのが苦手なんです…。
だけど、人を深く感動させるためには、そういうものがあった後にホッとさせたり、ハッピーエンドが来たりすると、より一層みんなを幸福な気持ちにさせられる。
今日のお化け屋敷を見ていてそう感じました。今後は、ちょっと頑張ってハラハラドキドキを書いてみようとも思いました。
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■不安を抱くのは「視聴率」
———おばけがいないおばけ屋敷。実験では「いつ出てくるのか」という不安感が逆に怖かったという結果になりました。おばけ屋敷に興味はもちましたか?
中園:いえいえ、全然(笑)。でも、おばけ屋敷のおばけを抜いてみるだけでこんな結果になるなんて…と、すごく番組の検証は面白かったです。…季節感はないけどね(笑)。
私が書くドラマは恋愛モノが多いので、「ドキドキハラハラを抜いたら恋愛ドラマはどうなるのか」はよく考えるんですよ。
次は番組で、恋愛から何かを引くっていう実証をやっていただきたい! 今後のドラマの参考にもなるので是非よろしくお願いします(笑)。
———仕事における不安、恐怖とはどんなものがありますか?
中園:作品の視聴率が落ちたらどうしようという不安はいつも感じています。
裏に強い番組があるとその影響で視聴率は変わるのではないか、企画段階で「この内容で勝てるのだろうか」など、恐怖とはいつも戦っています。
———脚本家だと締め切りに追われるのも恐怖なのでは?
中園:私は本当に締め切り破りの脚本家なので、恐怖でもあるんですけど、マヒしちゃっているところもありますね(笑)。本当は恐怖に感じなくてはいけないんですけど…。
脚本家仲間を見ると、絶対に締め切りを守る脚本家さんもいますが、締め切り直前になるとアドレナリンが出てドキドキするらしいですね。一方で、私はぐーたら脚本家なので、こんなこと言っていたらお仕事こなくなっちゃいますが…。
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(取材・文/しらべぇ編集部・キモカメコ 佐藤)