関東で統計史上最も早い「春一番」吹く キャンディーズがお役所仕事を変えた?
本日発表された「春一番」の言葉の由来は長崎県にあり? クイズプレイヤーでもある気象予報士・千種ゆり子さんが解説。
■気象庁を変えたキャンディーズ
1976年、キャンディーズの9枚目のシングル『春一番』がヒットすると、一気に言葉がお茶の間に浸透しました。当時、気象庁予報課で予報当番に入っていた饒村曜さんは、「キャンディーズは気象庁の業務をも変えてしまった」と回想しています。
「キャンディーズの『春一番』の大ヒットをきっかけに、気象庁には春一番の問い合わせが殺到。気象庁は春一番の定義を決め、1951年までさかのぼって春一番が吹いた日を特定せざるを得なくなった。そして翌年の1977年からは、現在のような春一番の発表が始まった」と教えてくれました。
当時の気象庁担当者にとってはいい迷惑だったかもしれませんが、僭越ながら個人的に評価させて頂くと、世間のブームを利用して気象防災業務に興味を持たせるという、“良い便乗”だったのでは。気象をはじめとする科学的な分野は、どうしても難しいと思われがちですから。
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■関東で「最も早い春一番」に
さて、4日昼すぎ、東京では最大風速8.6メートルを観測。基準の8メートルを超えたため、春一番が吹いたと気象庁から発表されました。春一番には立春から春分までの間という期間の決まりがあり、今年は立春の翌日・2月4日に発表・記録更新となりました。
今までの記録は2月5日でしたが、記録したのは偶然にもモノマネ芸人・春一番さんがデビューした1988年でした。
春一番と聞くと、もうすぐ春が来るかもと、ウキウキする気持ちになります。もちろん春が近づいているのは間違いのない事実ですが、春一番の元々の由来である海難事故にも思いを馳せ、強風による看板落下や工事現場の足場崩落などの事故にも気をつけていただければと思います。
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(取材・文/気象予報士・千種ゆり子)