■長い潜伏期間と高い致死率
ニパウイルス感染症の症状は、重度の脳浮腫、けいれん発作や嘔吐など。潜伏期間は最大45日間で、発症前の1ヶ月間で大勢の人にうつす可能性があるうえ、致死率は45~75%と非常に高い。
ウイルスの株は変異を起こしやすいとみられ、一旦流行すると瞬く間に東南アジア一帯に広がることが懸念される。そのため世界保健機関(WHO)は、ニパウイルスを優先的な研究を要する病原体16の1つと定めている。
また、深刻な流行が将来的に懸念される未知の病原体をWHOは『Disease X(疾病X)』と呼んで、ウイルスの遺伝子配列の速やかな解析を呼び掛けているが、深刻度の低いものも合わせると、未知のウイルスの数は167万にも及ぶそうだ。
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■パンデミックは今後5年周期で
気候の変動や環境破壊で生息地を奪われた動物たちは、人間との距離をせばめ、人々は世界中を簡単に移動している。そうした現状に、サヴィル博士は「注視すべきはニパウイルスだけではない。新型コロナのようなパンデミックは今後も5年ほどの周期で出現するでしょう」と話す。
なおCEPIでは現在、全コロナウイルスを標的とするプロトタイプ・ワクチン開発のため、ウイルス株ライブラリーに系統保存する作業が進められている。新型コロナウイルスのパンデミックから学んだことが、今後にしっかりと生かされるであろうという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)