過去に受けたセクハラ被害を訴えることはできる? 弁護士が徹底解説
北海道で、28年前に教師から受けた性的被害が認められ、元教諭が懲戒免職となったことが報じられ、注目を集めた。過去に受けたセクハラ被害の対処について、弁護士が解説
セクハラに関するニュースを多く目にするようになり、これまで以上に世間の関心も高まっているように思います。
今年1月には、28年前のセクハラがきっかけで、「札幌教師が懲戒免職」になったという事件も報じられ、注目を集めました。
■過去のセクハラ被害はいつまで訴えられる?
そもそも、過去のセクハラいつまで訴えることができるのでしょうか。齋藤健博弁護士によると…
齋藤弁護士:民法上で不法行為責任が成立するかが問題となります。これが成立していると、慰謝料を請求することができるのです。ご質問にお答えすると不法行為の消滅時効が問題になりますね。
一般的なセクハラのケースでは、被害に遭ってから3年で行使が難しくなります。延命的に伸ばすことは可能ですが、行為から20年を経過してしまうと完全に権利が消滅するルールになっています。
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■会社勤めの人はどうすればいい?
今回報道された北海道のケースでは、20年以上経っていたものの、教育委員会に持ち込むことで教諭が懲戒免職となりました。
その他のケースで「過去のセクハラ」から長い年月が経ってしまっている場合、例えば会社勤めをしていた方の場合は、どこに問題提起を起こすことが適切なのでしょうか。
齋藤先生:過去のセクハラを、ある意味『正攻法』とも取れる形で請求する、裁判所を通じて請求するなどの方法は現実的ではありません。どうしても、「時効消滅」等のワードに頭を悩まされることになるためです。
ただ例外もあります。被告が「事実は認めるが消滅時効にかかっている」などと反論をしてきたケースでは、時効等に関係なく、こちらからは会社に対して「職場における安全配慮義務を果たすべき」といった問題提起を行うことができると言えるでしょう。
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■一方で「冤罪」の懸念も
一方で気になるのが「冤罪」をまねいてしまわないか、という点です。昔のことであればある意味で、自分の記憶すら捏造してしまう……という部分も大変懸念されます。過去のハラスメント被害する際は、どのような証拠があれば認められるといえるのでしょうか。
齋藤弁護士:もともとハラスメントを扱うときには、完全に立証することができる証拠はほとんどないといっても過言ではありません。
自分のメモやノート、手控え、こんなものでもいいのです。少しでもきっかけになりそうなものがあれば、そこから手繰り寄せる。ある意味で地道な作業をすることになります。ですから、難しく考えず、過去の痕跡を粘り強く探してみる程度のものでもいいと思っています。
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(企画・文/しらべぇ編集部・齋藤 健博)