政府有識者会議で女性宮家・女系天皇の議論は進むのか? 金子宗徳・亜細亜大学講師に聞く

菅義偉首相の呼びかけで招集された、皇位の安定継承のための有識者会議。どのような議論が展開されるのか、右派の論客に聞いた。

2021/04/19 10:30

眞子さま・佳子さま

菅義偉内閣は先月、皇位の安定的継承を議論する有識者会議を設置した。安倍晋三前首相が男系維持を思想信条としていたため、女性天皇・女系天皇・女性宮家の創設という議論は一向に進まなかった。

振り返れば、安倍政権は、現・上皇陛下の生前退位についてすら後ろ向きだった。はたして、菅内閣の下で議論は深化・進化するのか。月刊『国体文化』編集長・里見日本文化研究所所長で、皇室に詳しい亜細亜大学講師の金子宗徳氏に、話を聞いた。



 

■現状は皇室の危機

金子宗徳

—政府が皇位の安定的継承のために有識者会議を設置した。これをどう評価するか。また、何を期待するか。

金子:現在の皇室典範では、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」(第1条)と定められています。つまり、皇室の血筋を男系すなわち父方で受け継いでいる皇族のうち男子のみが天皇に即位できるのです。


男性の皇族が多ければ問題になりませんが、現在、この要件を満たし、天皇の地位を継承し得るのは、今上陛下の弟である秋篠宮文仁親王殿下、文仁親王殿下の御子で今上陛下の甥にあたる悠仁親王殿下、上皇陛下の弟で天皇陛下の叔父にあたる常陸宮正仁親王殿下のみです。


このうち天皇陛下の次世代にあたる方は悠仁親王のみで、考えたくありませんが、悠仁親王殿下に万一のことがあると、将来において天皇不在という事態が生じます。


そうなれば、日本国憲法に基づいて象徴たる天皇が国会を召集し、首相を任命するということができなくなるだけでなく、日本の歴史的・文化的伝統が大きく損なわれ、日本社会に深刻な悪影響をもたらすことでしょう。


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■菅首相はリアリスト

金子氏は次のような問題解決策を提示する。

金子:この問題を解決するためには、①皇位継承資格を男系男子以外の皇族に拡大する、②男系男子の血統を受け継ぎながら諸事情のため皇族でない方を皇族として処遇する、という方向性が考えられます。


かつて、小泉内閣や野田内閣は①の方向性を模索したものの、「前例」がないという保守層の反対を押し切ってまで強行する覚悟はなく、その後、保守層の支持を受ける安倍内閣は①の方向性を否定したものの、②にもクリアすべき課題が多いために解決が先送りされてきました。


この間に上皇陛下の御意向を受ける形で皇室典範特例法が国会の可決を経て成立しましたが、その附帯決議において、特例法の施行、即ち皇位継承に関する一連の儀式が終了した後、内閣が「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について」検討を行い、その結果を国会に報告するよう求めています。


昨年11月の立皇嗣の礼を以て皇位継承に関する一連の儀式が終わった以上、菅内閣としては、このまま問題解決に向けた努力をしないでいるわけにはいきません。解決に向けた努力を始めたという点については、評価したいと思います。


私の見るところ、菅首相には何が何でも男系男子による継承という「伝統」を守らねばならぬという強い拘りはないようです。また、官房長官を長く務める中で、②の対象となる方々、具体的には敗戦後に皇籍離脱した旧皇族の末裔たちの実情も把握していると思われます。


そうした首相の意向を受けて立ち上げられた有識者会議ですから、現実に即した議論が進められると期待しています。

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