歌川広重が描く虹、浮世絵から見る天気とは 気象予報士・千種ゆり子が解説
気象予報士・千種ゆり子さんが「江戸の天気」の展示を取材。雨雲レーダーの意外な活用術も紹介。
東京・原宿の太田記念美術館で8月29日まで行われている「江戸の天気」の展示を取材しました。気象予報士の千種ゆり子がリポートします。
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■ベロ藍がもたらした美しい空の表現
太田記念美術館は浮世絵を多数所蔵しており企画展を定期的に行っているのですが、今回は「天気」をテーマにした展示です。
浮世絵は江戸時代に成立した大衆メディアで、1830年ごろから浮世絵版画に「ベロ藍(プルシアンブルー)」という青色の合成顔料が用いられるようになりました。このため、美しくリアルな空や海の色が表現できるようになり、風景や天気を描いた浮世絵が増えていったそうです。
8月29日までは後期展示で57点の浮世絵が展示されていますが、コロナ禍であることから「オンライン展覧会」も実施しています。現地に行かなくても、インターネット上で展示絵画についての解説を読むことができます(有料)。会期が終わっても読むことが可能です。
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■グラデーションが美しい虹の浮世絵
オンライン展示会ページの1枚目を飾っているのは、歌川広重の「名所江戸百景 高輪うしまち」という浮世絵です。
虹は日本では7色だと言われますが、実際の虹をみてみると、その境目はハッキリとしません。国によっては、虹を5色、6色などとみる地域もあります。広重の絵も、本物の虹と見紛うほどの美しいグラデーションになっています。
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■東京ではダブルレインボーが出現
17日の朝、東京では二重の虹が出現しました。虹は太陽とは反対側で、雨が降っている時に見えます。朝なら西の空、夕方なら東の空に見えるということですね。
最近は雨雲レーダーを活用する人も多いですが、雨雲がある方角がわかるので虹は比較的簡単に狙って見つけられます。雨雲レーダーを見る癖をつけると、虹探しにも、さらに防災にも役に立ちます。
相次ぐ災害で天気は「怖いもの」と考えられがちですが、天気予報や雨雲レーダーをしっかりチェックしておけば、危険に気づいてある程度の危険は避けることができます。天気とは、適度な距離感でお付き合いするのが大切です。
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(取材・文/気象予報士・千種ゆり子)