ドバイ万博展示のレプリカダビデ像 イスラム圏での開催で秘部隠しが話題に

裸体の彫像であるミケランジェロのダビデ像。ドバイ万博で、そのレプリカの展示方法が注目を集めている。

2021/10/07 05:45

ダビデ像・ミケランジェロ

ドバイ万国博覧会のイタリアパビリオンに展示された、ある有名な彫像の展示方法をめぐって、批判の声が上がっている。『Mail』など海外メディアが報じている。



 

■イスラム圏での万国博覧会

新型コロナウイルスの感染拡大により延期されていたドバイ万国博覧会が、1日より開催されている。そして、イタリアの最も大きな観光資源の一つであるミケランジェロのダビデ像のレプリカが、同国パビリオンに設置された。

しかし、保守的なイスラム教徒への配慮として、主催者が男性のシンボルを隠す展示法を取ったことで話題を集めている。


関連記事:歌川広重が描く虹、浮世絵から見る天気とは 気象予報士・千種ゆり子が解説

 

■一部隠したレプリカダビデ像

博覧会で展示されているダビデ像は17フィート(5.2メートル)の高さがあり、レーザースキャンと3Dプリント技術を駆使して作られた正確なレプリカ。樹脂の上に大理石の粉をまぶしてより本物に近づけたもので、製作の段階から注目されていた。

ところがイタリアにある本物のダビデ像が誇り高く“全て”を露出している一方で、今回展示されたレプリカダビデ像は、ガラスや石柱で囲まれた筒状の空間の中に配置されている。一般観衆は像の頭部を間近で見ることができるものの、全貌は見えないような作りになっているのだ。


関連記事:エヴァが好きすぎる仏教系寺院 推しキャラめぐるフラグを華麗に回収してしまう

 

■評論家 vs 展示責任者

イタリアの美術評論家ヴィットリオ・スガルビー氏は、このダビデ像の展示方法を「グロテスクでばかばかしい」とこき下ろし、「ミケランジェロのダビデ像のある部分を“なかったことにする”のは、開催国とその宗教にお辞儀をしているだけ」とメディアの取材に語った。

その一方で、イタリアパビリオンの展示責任者であるダビデ・ランペロ氏は政府による検閲を否定し、「観衆が展示エリアに足を踏み入れた時に、ダビデ像のまなざしに出会うことのできるユニークな展示方法である」と、持論を展開した。

またプロジェクトに参加した他のイタリア人は、「ダビデ像に下着を着せることや、全てを変えてみることも検討したけれど、遅すぎた」と取材に語っていたそうだ。


関連記事:3日間だけ開催される「やさしくないミュージアム」 その実態を探ってきた

 

■工夫か苦肉の策か

展示責任者は、地上階からダビデ像の展示場所に入室した場合には、像の全てを見ることができるとも主張したが、主催者によればこの地上階からの入室はVIPに限られているという。

意図した展示であれ、苦肉の策であれ、本物のミケランジェロの頭部に近づくことはできないため、一見の価値はありそうだ。

・合わせて読みたい→3日間だけ開催される「やさしくないミュージアム」 その実態を探ってきた

(文/しらべぇ編集部・原田パラン

デビッド像レジントップコレクションミケランジェロのダビデ置物クラシックヒーロー彫刻博物館のレプリカ 【Amazonでチェック】

イタリアイスラム教ドバイ大理石ミケランジェロ樹脂3Dプリントレプリカ翻訳記事ダビデ像レーザースキャンEXPO2020パビリオン万国博覧会
シェア ツイート 送る アプリで読む

人気記事ランキング