寝屋川市「いじめゼロ」新アプローチに大注目 1カ月以内に「全件いじめ停止」の実績
学校や教育委員会に対して、不信感を抱いているケースが多く、第三者的立場の監察課スタッフが入るメリットは大きい」と担当者。
文部科学省によると、2019年度全国の小・中・高等学校におけるいじめの認知件数は約61万件で、重大事態の発生は723件。いじめによる自殺者数は317人にのぼる。
文科省は、児童・生徒の自殺が後をたたないことについて、「極めて憂慮すべき状況である」としている。そんな中、大阪府寝屋川市のいじめ撲滅に向けた先進的な取り組みが話題に。
■子供の命を最優先
寝屋川市は2019年10月に、学校でのいじめ調査などを教育委員会から独立して行う部署として「監査課」を新たに設置。
この目的について担当者は、「寝屋川市でとくに重大な事態が発生した訳ではないが、全国的に学校がいじめの被害者と加害者をわけずに対応していることで、いじめが長期化、深刻化している状況が見受けられるため」と話す。
監察課が、第三者的立場でいじめに関わっていくことで、「子供の命を最優先に守る」狙いがある。
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■全件監察課が確認
一般的に学校でいじめが発生した場合には、教育委員会に報告が上がるが、寝屋川市では監察課にも報告が同時に入る仕組みだ。学校が対応し、いじめが終結したとの報告が入っても、全件監察課が学校を回り、本当に終結しているかを確認。
監察課のスタッフは計9人で、弁護士1人、福祉部局出身のケースワーカー3人も加わっている。担当者は「いじめの被害者や保護者は、学校や教育委員会に対して、不信感を抱いているケースが多く、第三者的立場の監察課スタッフが入るメリットは大きい」と説明した。