刃物で突然襲われたとき「リツイートしないで」 その理由に思わず納得…
日本中に衝撃を与えた京王線の刺傷事件。こちらをめぐり、ツイッター上で発生した「ある動き」に疑問の声が寄せられているのだ。
■「刃物にはこう対処」に違和感
京王線で事件、重体の方が無事意識が戻りますことを祈ります
この後刃物で襲われた時の対処方とかTwitterで上げる人が増えるかも知れないので、多数武術をやってる身から一言
それは役に絶対立たないもなので、リツイートとかしないでください
1にも2にも逃げる事
逃げる以外に手立ては無いです— 秋山銀次郎@時代劇系Vtuber (@AkiyamaGinjiro) October 31, 2021
ツイート投稿主の秋山さんは前述の通り、時代劇系Vtuberとして活動中。
時代劇の普及のためにYouTubeで活動路続けている中、時代劇の一環として古武術・現代武術を10年以上修行する身で、そうした経歴もあって、今回の事件を受けて思うところがあったそうだ。
ツイート投稿の背景について、秋山さんは「8月に起きた小田急線の事件の後、『刃物にはこう対処する』などの護身動画が結構目についたんですね」「今回も多分出るんだろうなぁと思いまして、このツイートをしました」と振り返っている。
また「護身術は使えないというわけではないのですが」と前置きしつつ、「かなりの稽古量と条件が限られたときでないと、効果を発揮しないんですね」「今回の事件のような完全に虚を突かれたときは、相当の稽古を積んで、何も意識しなくてもその行動が取れるレベルの方でないと、効果を発揮するのは無理だと思います」とも語ってくれた。
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■「戦う」という選択肢について
「逃げる」という行為とは対照的に、偉大な行動として捉えられがちなのが「戦う」という選択肢。
実際、件のツイートに対しても「勇敢に戦う!」という意見を寄せていた人が少なからずいたようだが、秋山さんは「犯人に遭遇したときって戦う、という選択肢を選ばないといけない状況ではないと思うんです」と語り、「逃げた先が狭い個室で隠れるところが無く逃げ道がふさがり、犯人が攻撃してくるとき」など、本当に「戦う」以外の選択肢がないシチュエーションを挙げてくれた。
また、一見正しそうに見える自己犠牲の精神についても「実際にやると結構大変なことが起きます」とバッサリ。
負傷して人質になる可能性のほか、戦って死んだという事実が周囲に伝播してしまうと、追い込まれて戦うしか選択肢がなくなった際に「どうせ戦っても死ぬんだ…」という無気力さを引き起こす恐れもあるという。
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■「武装した犯人」を制圧できるのは…
「もし余裕があれば、お子さんとかご老人などの逃げにくい人を抱えて逃げる」「もしお子さんがたくさんいて余裕がないときは、適当なガタイのいい人に押し付ける。パニックになってるときに押し付けると結構すんなり聞きます」とも補足している秋山さん。
また「武装した犯人を制圧できるのは、同じく武装した警官や自衛官だけだと思ってください」というコメントも見られ、「巻き込まれた人達は圧倒的に不利な状況なので、逃げることを非難するのはお門違いです。例え友人、恋人、親兄弟が被害に遭っている中で逃げても、非難しないでください」とも強く呼びかけていた。
事件に巻き込まれ「逃げる」という正解を選んだ人々に言われなき非難が寄せられると、それはまた新たな被害者を増やすことに繋がってしまうのだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)