階段をモノレールで昇る長崎の“斜面移送システム“ 市は「交通弱者のために」
担当者は「坂が多い街で、交通弱者の方も安心して暮らすためには必要不可欠なもの」と話す。
長崎市は、地形的特性から市街地の約7割が斜面傾斜地となっている。しかも、この地域の道路幅は約1メートルから2メートルの階段道路網だ。
現状では家屋の密集による用地買収の困難さや勾配上の問題により、生活道路としての車道の整備が進まない状況。そのため、市内3ヶ所にモノレール式の「斜面移送システム」が設置されている。
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■3ヶ所で乗車可能
1号機となった「てんじんくん」は、2002年3月24日に運行が開始された。定員2名で全長60メートルを4分かけて移動する。スタート位置と中間点、頂上地点の3ヶ所で乗降可能だ。
このシステムの対象者は、高齢者や身体障害者、妊婦などの移動が困難かつ不便に感じている交通弱者で、市に申請することでカードを受け取れる。そのカードを入れることで、乗車が可能になる仕組みだ。てんじんくんのカードは、約100名に発行されているそうだ。
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■必要不可欠なもの
長崎市土木建設課は、しらべぇ編集部の取材に対して「坂が多い街で、交通弱者の方も安心して暮らすためには必要不可欠なもの」と話す。てんじんくんの設置費用は約2,000万円で、毎月の点検、年に1回の大型点検などメンテナンス費用もかかる。
しかし、「一度設置したものを、取り壊すと当然市民に怒られる」とも明かしており、今年10月21日にリニューアルされた3号機「水鳥号」には、約4,000万円の費用がかかったという。