4月から中小企業も「パワハラ防止対策」義務化 何が変わるのか弁護士が解説
2022年4月から、中小企業でも「パワハラ防止対策」が義務化される。これによって、被害者はどう救済される? 弁護士が解説。
■相談が増えている2つのハラスメント
昨今、とくにどのようなハラスメント問題の相談が増加しているのでしょうか。
齋藤弁護士:目に見えて相談が増えているのは、「マタハラ」の相談です。これまで産休に対して無理解であった企業や会社も、マタニティハラスメントという概念を理解し、浸透したように見受けられます。これが労働者にも理解が広がり、自分がされていることがマタニティハラスメントなのだと自認できるケースが多くなっています。
これに少し遅れて、「SOGIハラ」や「アウティング」に関する問題が顕在化している状況にあります。
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■「SOGIハラ」とは
相談が増加している「SOGIハラ」とは、「個人の性的指向や性自認を揶揄する言動」のことで、個人の性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字をとり「SOGI」と表現されています。
パワハラ防止法の施行により、LGBTをはじめとした性的マイノリティーの性的指向や性自認(SOGI)を揶揄・侮蔑する言動に対しても、今後企業は防止策を講じなければなりません。仮に被害者が性的マイノリティーの当事者でない場合でも、個人のSOGIに対する揶揄・侮蔑的言動は「SOGIハラ」にあたります。
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■「アウティング」とは
「アウティング」とは、個人の性的指向や性自認を勝手に暴露する言動・行為のことを指します。
パワハラ防止法において、SOGIは「機微な個人情報」とされ、許可なく他人に暴露する行為はハラスメントに当たります。
マタハラと同じく、SOGIハラやアウティングは、これまで「プライバシーの侵害だ」というように抽象的に片付けられてきた問題がミクロに取り扱われ、拡大している問題です。齋藤弁護士も、「これらが浸透するには、もう少し時間がかかると見ています」と指摘します。
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(企画・文/弁護士・齋藤 健博)