『R−1グランプリ2022』が面白かった理由とは ピン芸人たちの猛反撃に注目
『R−1』では、優勝したお見送り芸人しんいちのほか、ZAZY、吉住、寺田寛明らが奮闘。ネット上でも話題となった。
■インテリ的芸をみせた寺田
社会派的なネタはもう1つある。寺田寛明というピン芸人は、現役塾講師の経験を活かしながら、講義的なフリップ芸を見せた。
「はじめて何かをやった人は、最初はよい評判を受けなかったはず」というエピソードをテーマに、様々なものを風刺する。鋭い着眼点で、ところどころインテリ的な面白さも含む新しさのあるネタ。しかし、審査員の評価は特段に高いものでもなかった。
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■審査員の新しい一面も
寺田のネタに対するハリウッドザコシショウのコメントは、印象的で話題も呼ぶ。それは「大喜利力があるのはわかるが、テレビで観ている人を意識する何かがほしい。人間力というか」というもの。
インテリ的であったり、ニヒルであったりするネタに対し、ネタそのものの面白さだけでなく、多くの人を巻き込むわかりやすさを求めるものだろう。ザコシショウは、審査員の新しい一面も見せ、ピン芸人の地位を高める重要な役割を担いだしている。
■多くの成果を残した『R−1』
『R−1』も、『M−1グランプリ』(テレビ朝日系)や『キングオブコント』(TBS系)のように、格式と技巧性がともに上がっていく傾向だろう。とはいえ、今大会は、多種多様なピン芸が特徴なので、進化しながらも、ピン芸の多様性とともに深化していくことと思われる。
優勝したお見送り芸人しんいち以外にも、今回の『R -1』からは、多くのピン芸人が売れていくことが予想できる。今後の各々の活躍や動向に期待したい。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)