ハードオフで買った千円のギター、内部を見て驚き… 予想外すぎる「正体」に称賛相次ぐ
ハードオフにて激安価格で購入したギター。その意外且つ、ロマンあふれる「正体」に、反響の声が相次いでいるのだ。
■このギター、本当にスゴかったことが判明
一昨日1000円で買ったこのギター、どうやら日本で最初にギターを製作した鈴木政吉(鈴木バイオリンの創業者)が大正時代に製造したものらしい…。
なかなかのハードオフドリームじゃない?? pic.twitter.com/ElE7fjEMo1
— またの名をエリック (@goro1002_uwcrew) March 23, 2022
「鈴木バイオリン製造」は「日本のバイオリン王」とも言われた鈴木政吉が、1887年(明治20年)に創業した老舗メーカー。鈴木政吉は初の国産バイオリンを製造した人物で、同社ではバイオリンを中心とする弦楽器の製造・販売、修理・メンテナンスを行なっている。
まずは同社に件のギターの特徴を確認してもらい、詳細について尋ねたところ、担当者からは「こちらのギターは『ギター No.1』という品番のものになります」という回答が。
担当者はさらに「ラベルの『No.』部分が空白になっておりますが、これは『1』というスタンプの印字が消えてしまったものと思われます」と続け、「SUZUKIのギターは、第一次世界大戦の始まった1914年(大正3年)から販売が開始され、当初『ギター No.1』と『No.2』という2つのモデルからスタートしました」「発売当時の価格でいうと『ギター No.1』が15円、『No.2』が18円という価格で、バイオリンの価格で相対すると、だいたい中級グレードの価格帯に当たります」と、商品の詳細について補足している。
そして、これらの情報を総括して「ツイートにございましたギターは、1914年(大正3年)から1925年(大正14年)ごろにかけて製造した、日本で最初期に発売されたギターである『No.1』という品番のもの、ということになります」と結論づけてくれたのだ。
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■「運命」を裏付けるエピソード
ギター製作が開始された1914年からしばらくの期間は『No.1』と『No.2』の2つの品番のみであったが、1920年を境に『ギター米国型』や『露国型』など様々なモデルや規格を展開し、品番も広がっていく。
そして時は流れ、1975年(昭和50年)からは『スリーエスブランド(Three S)』が発売され、ギターブームの波に乗ってSUZUKIのギターはラインナップがさらに充実。
中でも前述の『Three S』はそれまで半世紀ほど作り続けてきたギター製作の「技術の結集品」とも呼ぶべき逸品で、担当者は「音の鳴りも、低音から高音域までのバランスも非常に優れたギターです」「それゆえ、現在でも1970年代~1980年代のSUZUKIのギターは非常に人気があり、ビンテージの部類でも高く評価されています」と太鼓判を押す。
発売直後から大きな人気を博した『Three S』はその後、1980年代まで約10年ほど製作されたのだが…なんと今年2月より、35年ぶりに製造・販売を再開しているというから驚きである。
話題のツイート投稿主・エリックさんが「知らずして100年前のギターを安価で購入した」という点も衝撃的だったが、そのわずかひと月前に件のギターの「子孫」とも呼ぶべきギターが待望の復刻を遂げていたというのだから…エリックさんと『ギター No.1』の出会いは、やはり運命だったのだろう。
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■「鈴木バイオリン」が愛される理由
かつて工場があった縁があり「鈴木バイオリン」は愛知県大府市に本社を置いていたが、戦争の影響による疎開を余儀なくされ、本社を名古屋市に移転させることに。そしてそこから、じつに85年の年月を経て、2021年4月に大府市への帰還を果たしたのである。
担当者は「85年ぶりに、本社がふるさとに帰ってきました」と笑顔を見せ、「大府市が『バイオリンの里』として国内外にも知れ渡る街になるように、市と一体となって取り組んでおります」と今後の展望を語ってくれたのだった。
最後に「超」が3つ付いても足りないくらいの「ビンテージ品」であるエリックさんのギターのメンテナンス法について尋ねると、「ボディの割れが目立たない場合は、通常のネック調整をして頂ければ、引き続き弾いて頂けるものと考えます」という衝撃の回答や、「割れや剥がれが目立つ場合は、ニカワやアテ木をして補強してお使い頂くことになります」といった丁寧な補足が返ってきた。
「鈴木バイオリン」が長年に渡って愛され続けている理由は、楽器のクオリティだけでなく、地域を愛する熱い気持ちや、ユーザーひとりひとりの目線に立ってアドバイスをくれるような真摯な姿勢に、その真髄がある気がしてならない。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)