日本復帰50周年の沖縄 『世界遺産』で琉球王国グスクと4つの遺産群に迫る
19日放送の『世界遺産』では、節目を迎えた沖縄の世界遺産を2年がかりで撮影。サンゴ礁が産んだ海の王国に迫る。
■巨大な山城の謎
世界遺産の中で最古のグスクはおよそ800年前に造られた豪族の城、勝連城跡(かつれんじょうあと)。4つの郭(くるわ)を階段状に配置した様式の城は自然の地形を巧みに取り入れた城壁をめぐらせている。
沖縄本島北部の今帰仁城跡(なきじんじょうあと) は、その見事に積み上げられた堅牢(けんろう)な城壁が全長1.5kmも続く。 そして、2つの巨大な星形の城壁が連なる座喜味城跡(ざきみじょうあと)。また、沖縄戦の戦火を免れ、最も保存状態のいい中城城跡(なかぐすくじょうあと)。
こうしたグスクの多くは、サンゴが堆積してできた琉球石灰岩を切り出して作られている。グスクの変遷は、その石積み技術の進化史でもある。砕いた石をそのまま積み上げたものから、石材を丁寧に加工、遂には多角形の巨石を互いにかみ合うように積み、強度と耐久性を手にした。
ただ、グスクがどのようにして造られたのか資料は残されておらず、また、加工のための道具も見つかっていない。巨大な山城はいまだ謎に包まれている。
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■琉球王国最大のグスク
1429年から明治時代の初めまで、450年にわたり栄えた琉球王国。那覇の丘の上に建つ首里城は、王国最大のグスクだ。
2019年に原因不明の火事で正殿を含む中心部が焼失。今年11月に正殿の復元工事が始まり、2026年の完成を目指している。同番組では、火災前の2016年に首里城を撮影。在りし日の正殿内部、漆の赤に鮮やかに彩られた空間が蘇る。
首里城の約3km南にある、王の別邸、識名園(しきなえん)。そして、サンゴ由来の琉球石灰岩の巨大な山をくりぬいて造られた王の眠る陵墓、玉陵(たまうどぅん)。建物には一部岩盤がむき出しのまま残されたところがある。自然に最後までは手を加えない、沖縄独特の美意識の表れに注目だ。