仕事終わりのビールにも危険が…? 医師に聞いた熱中症に潜む「意外なリスク」
すでに熱中症で救急搬送された人も。気になる対策は…。
■熱中症が疑われる症状
前出の井上さんに熱中症が疑われる症状について聞くと、熱中症の重症度は軽症・中等症・重症の3段階に分類されると話す。
「軽症はめまいや立ちくらみ、下肢のこむら返り(足がつること)などです。口の中がパサついてくることも一つの目安ですので、経口補水液などでの水分摂取をするとともに、涼しい場所に移動し、ゆっくり休むことが大切です。中等症以上の症状としては、吐き気や嘔吐、頭痛、脱力、体温の上昇、意識障害、ふらついて歩けない、全身の痙攣(けいれん)などが挙げられます。意識障害や痙攣が見られた場合は救急要請すると思いますが、それ以外の中等症以上の症状であっても受診が推奨されていますので、無理に自分達で様子を見ようとせずに受診してください。受診までに時間がかかる場合は、霧吹きを使って露出している肌に水を吹き付けることも有効です」(前出・井上さん)。
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■やりがちな「あの習慣」も要注意
予防としてこまめな水分補給が大切だが、熱中症になりやすくなる飲み物もあるという。「アルコールと、カフェインが入っているコーヒーや紅茶・緑茶があげられます。アルコールやカフェインには『利尿作用』という水分を尿として出してしまう作用があり、脱水を助長してしまう可能性が高いため、注意が必要です」(前出・井上さん)。
これからの時期、仕事終わりのビールを楽しみにしている人も多いだろう。ただ、ここにも危険が潜んでいて…。
「夕食時のビールをおいしく飲むために、日中に汗をたくさんかいても水分をなるべく摂らない方がいらっしゃいます。ただでさえ日中の汗で水分が喪失しているのに、アルコール摂取によって、さらに脱水となってしまいます。脱水によって熱中症になる可能性が高くなるだけでなく、血液の過度な濃縮によって脳梗塞や心筋梗塞などの発症リスクが上昇することが分かっています」(前出・井上さん)。
身近なところにも熱中症になる危険が潜んでいるのだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/医療法人社団南州会理事長、三浦メディカルクリニック院長・井上哲兵さん)