全町民が一時避難した福島原発近くの町から世界へ 『とみおかワインドメーヌ』の挑戦

昨年度は564本、今年はフルボトル換算で1,500本ほどの生産を目指すという。

2022/06/28 10:00


富岡町

東日本大震災による津波で、水素爆発・炉心溶融を起こした福島第一原発。その南にあり、事故は起きなかったものの2021年から廃炉作業が始まった福島第二原発。2つの原発に挟まれるように位置するのが、福島県双葉郡の富岡町だ。


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■一時は全町民が避難

2017年3月までの約6年間、全町民が避難を強いられた富岡町。現在は北東部の一部を除いて避難指示区域が解除され、住民の帰還も進む。

しかし、生活のすべてを奪われ、故郷に戻っても元通りの暮らしが営めるわけではない。そんな中で、それまでの富岡町にはなかった新しい挑戦も始まっている。ワイン専用のぶどう栽培だ。


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■ワイン用ぶどうの生産に挑戦

とみおかワインドメーヌ

富岡町民の有志10名を中心に「とみおかワイン葡萄栽培クラブ」が結成されたのは、2016年3月。町内2ヶ所に約200本ずつの試験栽培を始めた。日本の国産ワインは最近注目を集めており、国際的な評価も上がっているが、ぶどう栽培やワイン生産の歴史が古いのは山梨県だ。

しかし、温暖化の影響で甲府盆地の年平均気温も上昇。ぶどうへの悪影響も懸念されている。そこで、標高の高い長野や高緯度の北海道など、涼しい地域でのワイン用ぶどう生産が急がれているという。

夏涼しく、昼夜の寒暖差も大きい福島県浜通り地域でのワインぶどう生産には、こうした追い風も。

さらに2018年11月には、一般社団法人とみおかワインドメーヌを結成。ドメーヌとはぶどう栽培からワイン生産までを一貫して行う蔵元のこと。醸造を担うワイナリーづくりはこれからだが、目標はすでに明確だ。

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