習近平氏、プーチン氏は“ジレンマ”の相手? 最大の競争相手は米国

死ぬまで指導者の地位を獲得した習近平氏だが、いいことばかりではない。ウクライナ侵攻という暴挙に出たプーチン氏には大きな課題となるだろう。

2022/11/06 20:00

習近平、ウラジーミル・プーチン

今頃、中国の習近平国家主席は終身雇用という不動の地位を獲得して満足していることが想像できる。世界最多の人口を誇る国家を自分の決断でマネージメントできるのだから、想像できない権力といえよう。



 

■最大の競争相手は米国

おそらく、習氏は経済発展を進める一方、対外的には米国や日本、台湾などに対してより強硬な態度を取ることになりそうだ。その中でも習氏がとくに重視しているのが米国との競争だ。

米国と中国の経済力は年々拮抗しているが、経済や安全保障、サイバーや宇宙、最新技術など両国の競争フィールドは多岐に渡る。習氏は国家の力を総動員することで、あらゆる分野で米国に勝とうとしている。


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■外交課題はプーチン氏

しかし、外交の世界で習氏にも悩みの種がある。その最もたるものがロシアのウラジーミル・プーチン氏だ。正直なところ、プーチン氏がウクライナに侵攻することは習氏も予想しておらず、その後のウクライナでの暴挙に良い気持ちはしていない。

プーチン氏はウクライナ東部南部の4州を勝手にロシアへ併合し、兵士が足りないなどとして一部の国民を戦場に送ったが、こういった行動に世界はロシアへの非難を強めている。

今のプーチン氏と親友関係を強調すれば、今後は中国が欧米から経済制裁に遭う可能性もあり、習氏としては最大の厄介者をプーチン氏と認識している。


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■ジレンマの相手とも…

一方、プーチン氏はすでに“習さん助けてください”状態ともいえる。9月にウズベキスタンで両者が会談した際、プーチンは“中国の難しい立場を理解する、感謝する”と述べ、中国がどうしても必要と習氏に訴えた。

上述の通り、習氏にとっての最大の敵は米国である。そして、それはプーチン氏にとっても同じことであり、要は2人にとって米国は共通の敵であり、共闘できる立場にあるのだ。習氏としてもプーチン氏と手を組んで米国や日本をけん制することには意義を見出している。

しかし、プーチン氏と仲良くすれば国際社会から叩かれるが、プーチン氏とは対米国で共闘できるという、まさにジレンマの相手なのだ。今後しばらくは、習氏にとってプーチンは付き合いにくい相手といえるだろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

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