ついに爆発した習近平への不満や怒り 中国・ゼロコロナ政策の長期化で
側近たちを自分のイエスマンで固めた習近平。国民の不満を抑えることはできるのだろうか…。
■ゼロコロナ政策が強化
台湾統一や中華民族の偉大な復興を掲げて3期目をスタートさせた習氏であるが、すでに最も恐れる難題に直面している。
中国国内では新型コロナウイルスの感染拡大がこれまでになく広がり、それに伴ってゼロコロナ政策が強化されている。ゼロコロナとは文字通り感染者をゼロに抑えることで、コロナ以降、中国では数人の感染者が確認されただけでも外出禁止になるなど厳重な封鎖措置が実施されてきた。
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■怒りや不満が各地で表面化
しかし、それが長期化するにつれ、日常生活で制限を余儀なくされる中国市民の習政権への怒りや不満が強まり、昨今、それが各地で表面化している。
たとえば、北京や上海、広州などの大都市では、ゼロコロナに反対する市民らが封鎖された居住区から街頭に出て、「自由を奪うな」、「ゼロコロナは即止めろ」、「独裁者習近平はすぐに退陣せよ」などと抗議の声をあげ、一部は治安当局と衝突するなどした。
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■アパート火災で10人が犠牲に
また、新疆ウイグル自治区ウルムチ市では、ゼロコロナによって厳重に封鎖されていたアパートで火災が発生し、10人が犠牲となる悲劇があったが、厳重な封鎖措置によって消灯隊の到着が遅れたことが原因だったとみられ、その後ウルムチではそれに抗議する大規模な抗議デモが行われたという。
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■3期目は難題に直面
習氏が最も恐れているのは米国ではなく、市民である。反政権的な流れが強くなり、それによって共産党の正当性が弱体化することだ。中華民族の偉大な復興、毛沢東になる夢を持つ習氏にとって、市民からの求心力は欠かせない。
だが、その市民からすでにノー! を突き付けられている状態で、3期目の政権運営は1期目2期目の10年より難しいものになるかもしれない。こういった反政権的な流れを香港のように抑えるのか、もしくは対外的強硬姿勢に転じることで市民の不満怒りを交わそうとするのか、習氏は今難しい選択を余儀なくされている。
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(取材・文/セレソン 田中)