毎年ユニクロ感謝祭が近づくと… 「行動経済学」の教えがそのときに役立つ
【得する経済学】毎年同じ失敗をしている人はいませんか? そこには人間にとっての「あるあるの真理」が隠れています。
今年もユニクロの秋の感謝祭が終わりましたね。さて私のグーグルカレンダーでは毎年11月中旬になると、「ユニクロ感謝祭の準備!」というスケジュールが登場します。一年ごとに繰り返す設定になっている予定です。
「なんだっけ?」と思ってクリックして、説明部分に書いてあることを読むと、「11月下旬に開催される冬のユニクロ感謝祭では極暖のヒートテックコットンが限定価格になるはず。XLのVネックを2枚買い増すこと。」と書いてあります。「なんだっけ?」から少しずつ、去年の記憶を思い出します。
■「毎年繰り返される失敗」ありませんか?
何でこうなっているかご想像いただけるでしょうか? 冬の必需品のヒートネックについて私が毎年思っていることは、
①アトピー気味の自分の場合、肌に触れる面が綿100%になっているユニクロの極暖ヒートテックコットンが一番良い。
②普通のヒートテックと違ってこの商品、なかなか限定価格つまり特売にならない
③でも11月の勤労感謝の日前後に行われるユニクロの感謝祭では例年必ず目玉商品として限定価格になる。ここがチャンス
④毎年、シーズンの後半に2着くらいが擦り切れてお払い箱になるので、あらかじめこのタイミングで入れ替え分を安く買っておこう
とまあ、こんなことです。
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■人間は「未来への備え」を怠りがちな生き物
ただ一番重要なことは、去年の冬にこうやって考えたことは、春が来て夏ごろになると完全に忘れてしまうんですね。
実はこの現象、行動経済学のあるあるで「人間は目先のことに意識が向きすぎる傾向があって、未来の準備は常に軽視する」ことがわかっているのです。以前の私はまさにそんな人間でした。
そもそもヒートテックは寒さが本格化する1月頃にならないと着始めない。それでその頃になって去年のものを取り出してみると洗濯乾燥のし過ぎで小さくなったものとか、汚れが目立つものとかが出てくるのです。
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■アリとキリギリス…寒さが来たらもう手遅れ
それで1月下旬頃に買い増しに出かけるのですが、実はそのタイミングだと値段は通常価格だし、店頭ではサイズによって売切れが出始めるタイミングなんですね。
それはそうです。衣料品のビジネスではシーズン途中の1月には冬物の在庫を売り切るのが年間スケジュールなのです。
悲惨なのは2月になって本格的な寒さがやってきたときに、「こんなに寒いからヒートテックを買おう」と思う人です。もうそのタイミングだとユニクロのヒートテックどころか、大型スーパーの衣料品売り場に行ってもイオンのピースフィットウォームもヨーカドーのボディヒーターも、暖かい肌着はもうほとんどが品切れです。
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■こうして過去の自分に感謝する
それで、そうならないためにどうすればいいかというと、グーグルカレンダーにスケジュールを仕込んでおくのです。
この記事を読み始めたときに、「もう終わってしまったユニクロ感謝祭の記事を読む意味があるの?」と思った人、実はここがポイントです。来年のための行動を今やろうという記事だったのです。
私の場合も、10年以上前にそのような失敗をした年がありました。そのときから毎年同じ時期に失敗しないようにスケジューラーにアラートを仕込んでおくわけなのです。
「未来の準備は軽視する自分の欠点をテクノロジーで抗うことが賢い生き方なのだ」と自分に言い聞かせ、かつてスケジュールを入れてくれた過去の自分に感謝するのです。
Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「失敗しないユニクロ感謝祭対策」の話を掲載しました。また次回もご期待ください。
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(文/Sirabee 編集部・鈴木貴博)