来年の台湾有事で日中関係悪化が現実に? 日本企業はさらなる注意を
今年ここまで台湾で緊張が高まることを誰が予想したか…。来年以降、習近平国家主席はさらに台湾統一に向け動き出すだろう。
台湾情勢を巡り、台湾と中国の関係は悪化する一方で、中国はサイバー攻撃や経済制裁、軍事演習など様々な形で台湾を威嚇してきた。台湾の蔡英文政権はそれに屈せず、防衛力を強化し、米国など欧米諸国との結束を強化し、習近平国家主席の不満や怒りは募るばかりだ。
■今年はマイナス要因しかなかった
習政権の3期目が10月に始まり、習氏は台湾統一を政策のノルマに位置付け、来年以降さらに台湾への圧力を強めてくることだろう。
今年、台湾情勢を巡っては対話など歩み寄りの姿勢は全く見られず、マイナス要因しなかったと言えよう。
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■チャイナリスクをどう考える?
それに伴うチャイナリスクに日本企業はどう向かい合うのか。
台湾有事となれば日中関係は悪化することになるが、そうすれば中国から日本に対して経済制裁が実施されるだけでなく、中国にいる日本人が意図的に拘束される恐れが高まるであろう。
最近ではそれを懸念してか、中国から工場を日本に回帰させたり、中国を通さないサプライチェーンの強化に乗り出したりする企業も少なくない。
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■ニトリ、村田製作所は…
一方、ニトリホールディングスは来年末までに中国国内で展開する店舗を100にまで増やす方針を発表。また、村田製作所は江蘇省にある工場で445億円を投じて生産棟を新たに建設するという最大規模の設備投資を発表するなど、むしろ中国依存を深める企業もある。
こういった企業経営者たちは政治リスクというものをどの程度真剣に考えているか、大きな疑問が残る。
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■日本経済の破綻に
中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、中国市場を失うことは日本経済の破綻に繋がる。
日中経済の完全なデカップリングは非現実的であるが、こういった懸念を見据えたリスクヘッジというものが日本企業の間でもっと拡大する必要がある。
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(取材・文/セレソン 田中)