『THE W 2022』の質が高いといえる理由 コント職人・天才ピアニストの魅力とは
コント職人・天才ピアニストの優勝。他にも多くの実力者が揃った『THE W 2022』。
10日、『女芸人No.1決定戦 THE W 2022』(日本テレビ系)が行われ、天才ピアニストが優勝した。天才ピアニストを中心に、当イベントを考察する。
■天才ピアニストの快進撃
「THE W 2022」では、天才ピアニストが優勝。今に始まった話ではないものの、昨今のお笑い賞レースはなかなか皆が皆、納得する結果が得られていない風潮もある。
「THE W」は女芸人のお笑い賞レースであり、ピン芸も漫才もコントも何でもありだ。その分、審査も好みに左右されたり、現場と視聴者の乖離があったりしがちである。
今大会もその経過においては様々な感想に溢れたものの、天才ピアニストは高い支持を維持し続けての納得の優勝だったようだ。
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■「喧嘩を肴に一杯やりだすおばさん」
天才ピアニストの決勝Bブロックネタは、「喧嘩を肴に一杯やりだすおばさん」であった。このネタは単に面白いキャラクター造形のコントであると同時に、「ゴシップを祭りあげる大衆心理」をさらけ出す大人なネタでもある。
そのままゴールデンのコント番組のネタ設定にしてもいい、非常に奥行きも展開もあるネタだろう。天才ピアニストは決勝Bブロックの最初に登場し、3組の対戦相手に対して1票も与えることもなく、満票の完全勝利で最終決戦に進出した。
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■天才ピアニストの上質なコント
天才ピアニストが最終決戦で披露したネタは、「家族の前でVRゴーグルを使って幸せな家庭に逃避する妻」。
状況そのものが画的にインパクトある笑いとなっていると同時に、非常に社会風刺的なネタとなっている。また重い一面を含むような物語設定をしっかり笑いにつなげる竹内知咲のツッコミは、非常に強い武器。
天才ピアニストのコントの社会性は、ザ・ドリフターズや内村光良のコントの正統な伝統を汲むもので、非常に上質なコント作りであるといえるだろう。