30代社員、忘年会で目撃したアルハラを告白 「女性社員の涙の理由」に耳を疑う…
「アルハラ」が身近になっても、会社の忘年会で常識から外れた行動を取る人もいて…。
12月に入り、忘年会シーズンを迎える。今年はコロナ禍もあり大規模な宴会は開催しないものの、少数での飲み会を行う企業も多いだろう。
上司と若手がコミュニケーションを取る貴重な場となるが、部下への言動がアルコールハラスメント(アルハラ)と見なされる可能性もあって…。
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■身近になった「アルハラ」
アルハラは会社の飲み会で、飲酒を強要したり、酔っ払って行う迷惑行為全般と定義されている。「お前、俺の酒が飲めないのか」「女は上司のお酌しろ」「新人は何か一発芸やれ」──。
かつては当然のように見られたという上司から若手社員に対するこれらの言動も、アルハラになる可能性がある。近年テレビでも頻繁にとりあげられているため、アルハラは身近な言葉になった。
企業側もコンプライアンス意識が高まっているため、ひと昔前に比べると飲み会での常軌を逸した言動を自粛する傾向にある。
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■「上司の前で一発芸を…」
ただ、長らく根付いた”文化”が簡単には変わらないケースもある。都内のある会社で働く30代のAさんは、ここ数年大規模な飲み会はやっていないと前置きしつつ、コロナ以前の会社の忘年会は無法地帯だったと話す。
「ウチの会社では、上司や他部署の役員、取引先の人など100人近く集まるかなり大規模な忘年会をやっていました。その際、若手社員が大勢の人達の前で一発芸を披露するという”伝統”がありました。10年以上お決まりになっていて、若手はその年に話題になったタレントのコスプレをしたり、歌を歌ったりして場を盛り上げなければなりませんでした。でも、そういうのを楽しんでいるのは40~50代の上司達くらいです。若手はみんな嫌がっていましたよ」(Aさん)。
4年前に行われた忘年会で、ちょっとした”事件”があったという。
「若手社員数名でコスプレをしてその場はお開きになりました。でも、コスプレをした若い女性社員は大勢の前でそういうことをするのが相当嫌だったようで、後日若手だけの飲み会で『なんでこんなことしなきゃいけないんですか?』と泣き出してしまったそうです。今はコロナで忘年会は控えていますが、正直もう二度とやってほしくないですね」(前出・Aさん)。
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■トラブルになったケースも
ハラスメント研修を多数実施し、ハラスメント事情に詳しい社会保険労務士法人レクシードの代表・鈴木教大さんは、Aさんのような飲み会での一発芸の強要が問題となったケースがあると話す。
「数年前、ある飲食関係の会社が忘年会で旅館に泊まりに行ったことがありました。その場で若手社員が先輩にお酌をしたり、一発芸をやらされたのですが、後に若手社員が『やりたくないことを強制された』と精神的苦痛を受けたとしてトラブルになってしまったんです。お酒の場だと過激な言動を取りがちですが、そもそも飲み会の場で一発芸をするのは業務内容に含まれていませんし、それによって上司を喜ばせるのも仕事ではありません」(鈴木さん)。
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■アルハラが起こる背景
前出の鈴木さんは、こうしたハラスメントが起こる背景には上司と若手で共通認識ができていないことが挙げられると指摘する。
「50~60代と20代の人では感覚が異なります。それを理解せず、ベテラン社員が自分が若い頃されてきたことを今の若手社員にすることでハラスメントにつながることがあります。今の20代は権利に対する意識が高く、業務とそうでないことをきちんと分けて考えます。飲み会に関しても、年配の世代は『飲みニケーション』として業務時間外で親睦を深めようとするかもしれませんが、若い世代からすればそういうのは業務時間内でやってほしいのでしょう。そうした世代間のギャップで、ハラスメントが起きるのかもしれません」(前出・Aさん)。
会社の忘年会で「自分達がされてきたんだから」とお酌や一発芸を強要するのではなく、若手の日頃言えない仕事の悩みを聞く場にするなど、正しい”飲みニケーション”が行われるようになってほしい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/社会保険労務士法人レクシードの代表・鈴木教大さん)