ひろゆき、ホリエモン、三浦瑠麗など… インフルエンサーの微妙な空気

「売れる文化人」は必ずしも「正しいことを言う」わけではない。では、世間を賑わすひろゆき、ホリエモン、三浦瑠麗らインフルエンサーはどうなのか…真相に迫った。

2022/12/31 06:30

西村博之・堀江貴文

先日、文春オンラインにて、まつもとあつしさんがこんな記事を書いてました。

《大学生アンケート》「ひろゆきを好きだと友達に言える」が70%超え、ガーシーは8%以下… ネットインフルエンサーの好感度・信頼度を決める“想像通り”の要素とは?#文春オンライン


限られた空間に集まった大学生へのアンケートなので、もちろん学術的な厳密さは求めようはないのですが、結論として、彼らにとって「『面白い事を言ってくれる』が『正確な情報』よりずっと重要」という仮説として成立しそうなテーマが提示されていて興味深かったんですよね。

思い返せば、いまでいう若い人がカリスマと崇めるインフルエンサーについていえば、いろんな文化人調査などでも「売れる文化人」は必ずしも「正しいことを言う」わけではないことが明らかになっています。

民族系右派やネトウヨ御用達であった虎ノ門ニュースは常に誤報やフェイクニュース(ディスインフォメーション)の指摘をされ続けてきましたし、左翼が愛する東京新聞や朝日毎日もネットでは信頼性を巡って酷評されるケースが多いのもまた事実です。

そこに起用される文化人も代替わりを重ねながらも、そこでのコメントや寄稿には全幅の信頼を読者から得ているというよりは、自分の見たいものを見る消費者の傾向に迎合し、共感を引き出すことが重要とも言えます。要は、正しいかどうかよりも好きかどうか、自分の考えにそったことを言ってくれるかで人は判断していることになります。

では、もっとオープンに、まあまあマーケティング的に正しい手法で、大学生だけでなく30代40代はこれらの論客にどういう感情を抱いているのでしょうか。真実を探るため、取材班は秘境とされる群馬県の奥地に向かった…。


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■ひろゆき、ガーシー、津田大介らの知名度を調査

今回調査の対象となったのは、まつもとあつしさんがピックアップしていたひろゆき(西村博之)、ガーシー(東谷義和)、津田大介の3氏に加えてホリエモン(堀江貴文)と三浦瑠麗両氏にも参戦していただきました。何でこの二人を加えたかって? 面白ければなんだっていいんだよ。

設問もまつもとあつしさんの内容をコンパチにしてみましたが、いきなり出てきたのは「津田大介は若い人に知られていない知名度の低さ」でありました。おいおまえ、ワイより知られてねえのかよ…。

知名度が高ければいいというわけではありませんが、客商売で頑張ってる著名人が中高年知名度3割というのはいけません。いけませんなあ。

インフルエンサーを調べるとき、その波及力や価値はいろんな観点から「パワーレート」として算出します。これは、例えば無料で観られるテレビの視聴率と、実際におカネを払う本・電子書籍の売れた件数とでは、その人に求められる知名度やパワーの質が違うからです。

テレビの視聴率ではその人に対するカリスマ的な応援の熱量よりも広く知られていることが、本や電子書籍を売るには広く知られていることよりも掴んでいる(とても好き、とても信頼しているという)熱心な読者層が重要なファクターになります。

要は「有名だし興味を持っているけど、その人のためにおカネを払うほどではない」というのは価値が低いと言えます。同じ和田アキ子の著名な取り巻きでも出川哲朗は愛されるけど勝俣州和は客が来ないとか、土田晃之はよくテレビで観てみんな知ってるけど本人は別に面白くないのでカネを取る系イベントにはあまり呼ばれないなど、そういうやつです。


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■知名度の高さ=好感・信頼

他方で、インフルエンサーに関してむつかしいのは原則として「知られているほど、好感度や信頼度が高くなる傾向がある」という認知バイアスが働くことです。つまり、知名度の高さは好感や信頼と一定の相関関係にあります。

本稿では、この5人のインフルエンサーに対して知名度とは別に2つの質問をしていますが、ここでの回答を5段階で各10点、8点、6点、4点、2点としたパワーレートを仮に置くと、知名度の低い津田大介さんが好感度も信頼度も割と低く出ます。

ただ、これらの調査の問題点は「このインフルエンサーにハマっている」「いつも観ている」と、「このインフルエンサーが大嫌い」では価値がまったく異なるという点です。例えば電子書籍を出版したり、オンラインサロンで月額会員を集めたりするという稼ぎの意味では10点対2点なんてものじゃなく、一人あたり月間何千円とお布施を集める層と1円も払わない層に分かれるという点では「とても信頼している」or「とても好き」という、いわゆる推しの価値は測れません。

なので、ここでは「その人を知っている」うえ「その人のアカウントをフォローしている」ことで熱量を逆算しようとしています。その人に興味なければフォローして発言キャッチアップしませんからね。


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■アンチ行動も少なくない

また、ページビューやテレビ視聴率という観点では、一定の割合で「嫌いだから見る」「反対意見だから閲覧する」というアンチ行動も少なくなく含まれます。「こいつ、またクソみたいなこと外で言いやがって」という炎上は、基本的にテレビやネットで閲覧する分にはカネがかからない娯楽として消化されることを意味するからです。

つまり、「とても好き」の反対は嫌いなのではなく無関心である場合も多々あります。例えば、ホリエモンがネットで余計なことを言って炎上しますが、その炎上も、ホリエモンが好きという層も堀江貴文がまた馬鹿なことを言ってるから見物に行く層もいます。

彼らはどちらも一銭もカネを払いませんが、燃えているホリエモンを見に来るサイトに貼られた広告や、いままで無関心だった人が堀江貴文に関心を持ち、堀江さんの本を買う可能性も残されているのですから、炎上で人から注目を浴びることは例え炎上の中心にいても決して損なことばかりではないと言えます。

Q.インフルエンサーの発信を信頼していますか?


1. とても信頼している

2. どちらかといえば信頼している

3. どちらとも言えない

4. どちらかといえば信頼していない

5. まったく信頼していない

Q.インフルエンサーが好きですか?


1. とても好き

2. どちらかといえば好き

3. どちらとも言えない

4. どちらかといえば嫌い

5. とても嫌い


他方で、今回ガーシー(東谷義和)さんが調査対象に混ざっていますが、彼は津田大介さんとは比べ物にならないほど知名度が高いにもかかわらず、堀江貴文さんや三浦瑠麗さんよりも信頼されていません。

それどころか、積極的に「嫌いだ」「信頼できない」という人たちが圧倒的に多数であることもチャーミングポイントです。明らかに暴露系YouTuberとしての活躍が、高い知名度を得る代わりに多くのアンチを生み、活動すればするほど不興を買うサイクルに入ってしまっているとも言えます。

嫌われてもいいから、好きだと言ってくれる一割の人に向けて商売をするため知名度を上げる、というのは芸能ビジネスの根幹ですし、ゴシップ商売の原点でもあります。

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■ひろゆき、ホリエモン、三浦瑠麗の共通点は…
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