影山優佳の可能性と山崎怜奈の到達点　坂道系2大インテリ・アイドルの秘密

日向坂46の影山優佳が『FIFAワールドカップ』での活躍をきっかけに、大ブレイク。また以前より、乃木坂46からは山崎怜奈が知性派タレントとして活躍している。2人の知性派アイドルを考察したい。

 

■ブレイクした影山優佳

影山はワールドカップの勝敗予想の多くを概ね的中させ、話題となった。影山は近ごろ『東大王』（TBS系）などの難題を出題するクイズ番組で、東大王のOGである鈴木光の後輩として活躍。

影山は名門高校である筑波大学附属高等学校出身であり、クイズ研究会にも所属していた。また影山は東京大学文科一類受験のために、アイドル活動を2年間休止していたことでも知られる。

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■新井恵理那を超えられるか

影山は和気藹々とした日向坂の中で、王道のアイドル性も備えつつ、知性派メンバー担当となっていることに新しさや凄みがある。才色兼備かつ文武両道という最強スキルを持つ影山。

影山は、新井恵理那のようにMC業に携わるのが1つの理想と思われる。しかしそれでは芸能事務所・セントフォースらしいただのタレントでもあるので、影山の能力を活かしきれていない感もあるだろう。影山の能力を活かしきるマルチなMCタレントという新たな境地を期待したい。

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■クイズ番組ブームの危うさ

影山はクイズ番組で活躍するわけだが、クイズ番組は必ずしも安定的ではないだろう。現在のクイズブームは、直接的には『東大王』が生んだ伊沢拓司らによる部分も大きいものと思われる。伊沢のブレイクから4、5年経つので、そろそろクイズブームの低迷期ともいえる。

また脳科学者の茂木健一郎氏が『東大王』を批判するなど、クイズ番組を知性と結びつけることの問題があるという指摘も。

大学院で研究の道に進みながらも現役・東大王である鶴崎修功も「クイズは役に立つものではないが、愛することができる混沌の競技」との主旨を発言している。

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■政治にも斬り込める山崎怜奈

元乃木坂46の山崎怜奈も慶應義塾大学出身の知性派アイドルだが、一方で山崎は影山とは違い、より本格的なインテリ文化人タレント路線を進む。

山崎の凄いところはクイズタレントや歴女としての活躍もある一方で、政治や時事に対しても優秀なコメントができることだ。

山崎は『選挙の日 2022』（TBS系）で、的確な深いコメントをすることで評判となる。『サンデージャポン』（TBS系）でも山崎は、世界平和統一家庭連合への解散請求の話題について、解散請求が通れば旧統一教会は宗教法人から任意団体となる旨を踏まえたコメント。

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■インテリ系コメンテーターとの違い

SNSに流されてはいけないものの、SNSとまったくズレるのもよくないという状況でも、確実に論点を押さえバランスをとりながらも本質を突いたコメントを展開する山崎。

政治や時事を理解するには、問題の構造的把握や社会哲学的な理解力が必要で、これはクイズタレントがまず持っていない能力となるのだ。政権や話題の対象を安易に批判することでお茶を濁すインテリ系のタレントコメンテーターが多いなかで、山崎の能力は稀有といえるだろう。

■2人の新しい知性派アイドル

広末涼子が早稲田大学に入学し、話題になって以来、今や多くの高学歴タレントやアイドルがいる。俳優や芸人ならば知性や教養を本業に有機的に活かせばよいが、そうでないならば学歴がただの肩書でしかなく、活かしきれていないタレントが多い。

影山はアイドルとして、山崎はアイドル出身の文化人系タレントとして、これまで結実し得なかった知性や教養の理想的な活かし方を結晶化させようとしている。知性や教養を武器にした2人の新たなアイドルの可能性に期待したい。

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（文／メディア評論家・宮室 信洋）