中国の反スパイ法改正で監視や罰則強化 過去には日本人が拘束・逮捕も

習政権が国内での監視をいっそう強化。それにより、今年理由や目的も分からず拘束される日本人がいっそう増えるかもしれない。

2023/01/14 20:00


習近平

中国全人代の常務委員会は12月末、国内でのスパイ活動の摘発強化を目的とした反スパイ法の改正案を発表した。改正案は今年夏には可決される見込みで、摘発を主導する中国国家安全当局の権限、スパイ行為による罰則も強化される。



■大幅強化の反スパイ活動

とくに、スパイの定義が大幅に拡大され、たとえば摘発対象となる“国家機密情報”も、それだけでなく“国家機密情報に関連する資料やデータ、文献”などに拡大されるという。

近年、習近平政権は国内の権力基盤を固めるため、2014年の反スパイ法施行、2015年の国家安全法、2020年の香港国家安全維持法を次々に施行し、外国人を含む国内での監視を強めている。今回の改正もその延長であることは間違いない。


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■過去にも日本人が逮捕

これまでも2014年に施行された反スパイ法によって拘束され、実刑判決を受ける日本人が相次いでいる。2019年には総合商社に勤務する40代の日本人男性がスパイ容疑で懲役3年の判決を受け、2021年には同様にスパイ容疑で逮捕されていた日本人男性2人に対するそれぞれ6年と12年の懲役刑が確定した。

昨年10月には、懲役6年の刑期を終えた男性が帰国し、同男性は中国が持つ北朝鮮に関する機密情報を日本政府に意図的に提供しようとしたなど全く聞き覚えのない内容の判決を聞かされ、その後、24時間監視状態という過酷な環境を赤裸々に語っている。


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■拘束される日本人が増える可能性

今回の改正により、中国当局の監視の目がいっそう強化されることは間違いない。しかも最近中国国内では反ゼロコロナなど習政権に対する国民の不満が強まり、国外では米国や台湾などとの緊張が高まり、情報の漏洩に対してはかなり神経を尖らせているはずだ。

そうなれば、国民の不満も国外からの圧力も習政権にとっては敵であり、そういった内外からの圧力に屈しないためにも国内での統制をいっそう強化せざるを得ない。日本人への監視の目が強化される恐れもあろう。

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(取材・文/セレソン 田中

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