若者の“風呂なし物件”人気は本当？　ネットでは「ありえない」と怒りの声も…

たびたび大手メディアで報道されてはネットで物議を呼ぶ「風呂なしアパートが人気」というトピック。このトレンドニュースを目にした都内の不動産業者は「違和感しかない…」と首をかしげる。

 

■節約する若者たちに…

いま、風呂なし物件が若者に人気沸騰中であると民放キー局が報じたのは17日のこと。近くに通いやすい銭湯があり、また賃料も3万円台と安いことから「固定費が抑えられる」と若者に人気だという。

調べてみると、大手新聞社が12月、別のラジオ局も昨年11月に同様のトレンドを報じており、「ミニマリストの究極系」として紹介されていた。

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■飛び交う辛辣な声

しかし、これら報道が出る度にネット上がにわかにザワつく。

今回もツイッター上では「風呂なしアパートが人気なのでは無く、風呂なししか借りる金が無いんだよ」「新しい価値観というよりも『若者の貧困』『お金の若者離れ』が深刻なだけでは」と大半が否定的な意見で占められており、タレントのぜんじろうは「ひどいイメージ操作」、落語家の立川談慶も「金を稼がせてあげてないからだよ。俺が前座の頃から家賃は変わっていない経済なんだよ」と、人気ではなくやむをえないのではないかと持論を述べている。

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■不動産業者はどう見たか

報道にあった通り、一部の居住者にとっては「安さ」が魅力的なのかもしれないが本当に「人気」と呼べるのだろうか。不動産関係者に話を聞いた。

「報道は見ましたけど、うーんって感じです。どう考えても人気ないですよ。この業界に入って20年ほどですが、風呂なしOKって方はいませんでした。一時期シェアハウスブームがあって、その時は『専有の風呂がなくても良い』という方はいましたが、建物自体に風呂がない物件はその時もニーズが無かった」と話すのは、東京の下町エリアで不動産仲介業を営む40代男性・Aさん。

Aさんは報道に懐疑的で「『風呂なし物件』はほとんどが築40年以上の古い物件。そもそも借り手もなく、作りも古いので仮に風呂があったとしても賃料自体が安い。節約につながるかといえば微妙。違和感しかない」（Aさん）。

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■コロナになったらどうする

では若者たちはどう感じたのか。上京して3年になる21歳の大学生は「正直お金は無いですが、風呂なしアパートは選択肢にも入りません。学校行って、深夜までバイトして。限られた時間の中、不便さの方が際立つはず」とこのトレンドに納得しない。

さらに「周りでも聞いたことがないです。そもそもコロナが流行していて、自宅療養になったらどうするのでしょうか？　風呂も入らず10日前後家に籠もるのは辛すぎませんかね…」と記者に逆質問する始末だった。

今回のトレンド、一定の需要はあれども「人気」と言い切ることはだいぶ危険なのかも…。

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（取材・文／Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤）