広瀬すずと永野芽郁 脚本家・北川悦吏子氏の進化系「朝ドラ」的ヒロインの秘密
『夕暮れに、手をつなぐ』の広瀬すずと『半分、青い。』の永野芽郁。近年の北川悦吏子作品を考察。
■破天荒な主役・永野芽郁
同番組や北川氏に一部のアンチを生むような要素の1つもまた、ヒロイン・永野芽郁が演じる楡野鈴愛(にれの・すずめ)の過激なキャラクターだった。
途中、夫役となった間宮祥太朗が演じる森山涼次に、鈴愛が放った「死んでくれ」のセリフは大きな話題に。
鈴愛は、突如漫画家を目指すも後に挫折。また鈴愛は、幼なじみの佐藤健が演じる萩尾律(はぎお・りつ)の告白を断るも、後に未練を募らせる。そのまま鈴愛は、涼次と結婚。後に鈴愛は離婚し、律と再会する。批判的な意見としては、行き当たりばったりな展開というもの。
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■『半分、青い。』のテーマ
しかし、『半分、青い。』のタイトルは、左耳の聴覚を失った鈴愛が「傘をさしても左側だけ雨の音が聞こえず、晴れている」とするポジティブな考え方を指す。
鈴愛の力強いキャラは、そのキャラクターゆえに行き当たりばったりの人生を描く。最初から最後まで鈴愛のなかの論理が一貫しており、現実的な人生の描写に見える。
一見、土砂降りの行き当たりばったりな人生でも、半分は晴れていることを見いだす等身大のドラマなのである。
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■進化する北川悦吏子氏
近年の北川悦吏子ドラマは、個性の強いヒロインが恋愛に邁進するだけではなく、破天荒にその人生を生き抜く。北川氏自身もドラマに社会派な面も打ち出しており、時代に応じて進化を遂げているのだ。
インターネットの発達のためか、昨今は漫画ですら不快感をすべて排除すべきという風潮がある。しかし、創作において「不快感を全くなくす」という発想は制約に過ぎない。
北川氏は過剰な制約にとらわれず、時代を真正面から捉え、真なる王道作品をつくろうと果敢に挑戦する脚本家であると捉えることができる。広瀬すずも永野芽郁も北川作品の大役を乗り越え、大女優の道へと進んでいくだろう。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)