人間を肥料にする「堆肥葬」が米国で合法化進む 火葬は環境に悪影響か

約1ヶ月で体を肥料に変え、完全に土に還る。アメリカではすでに合法化された州も。

2023/02/19 13:10

堆肥・肥料

土葬や火葬といった伝統的な葬儀に代わり、人間を死後に「堆肥化」する方法が最近、アメリカの6つの州で合法となった。この「地球にやさしい葬儀」は、ヨーロッパの人々からも注目を集めているという。『euronews green』『The Guardian』などの海外メディアが報じた。



 

■環境に優しい新たな葬儀?

人間の堆肥化、あるいは「テラメーション」とも呼ばれるこの葬儀の方法は、死体を有機物に分解し、完全に土に還すことを目的としている。

そしてテラメーションは、世界のほとんどの国で採用されている火葬や土葬といった葬儀のプロセスと比較して、極めて「環境にやさしい」ことが特徴だという。


関連記事:死に魅せられた女性が仰天告白 「見知らぬ人の葬儀や埋葬によく出かけます」

 

■葬儀も「持続可能」な時代へ

テラメーションを推進する環境団体によると、従来の火葬は1回で245キロの二酸化炭素を排出する。これは携帯電話を2万9,000回充電するのに匹敵するという。

一方で土葬もまた、防腐処理に使用される化学薬品が土壌や水質汚染を引き起こす可能性があるほか、墓地のために広いスペースを確保することも問題となる。その点でテラメーションは「持続可能な葬儀」として、より多くの人々に支持されるだろうと、活動家たちは主張している。


関連記事:「自分の葬式に何人集まるか知りたかった」 葬儀をでっちあげた男性に批判殺到

 

■約1ヶ月で堆肥に変化

アメリカのワシントン州、コロラド州、オレゴン州、バーモント州、カリフォルニア州、ニューヨーク州の6州で合法化されている堆肥化のプロセスでは、死体は気密容器にアルファルファ植物やおがくずの混合物とともに入れられる。

これらは自然に熱を発生させ、熱によって微生物の働きが活発になり、約30日から50日で体は有機物(堆肥)に変化する。なお、このプロセスで骨と歯は分解されないため、専用の機械を通して粉砕され、残りの土と混ぜ合わされるという。


関連記事:葬儀中、スマホで写真を撮るのはマナー違反? 「意外な真相」が判明した…

 

■「新たな葬儀」に関心が集まる

テラメーションは現在多くの国で利用できないが、ヨーロッパの国々ではこうした新しい葬儀への取り組みに注目が集まっている。

英国では成人4,987人を対象としたYouGovの世論調査で、約44%の人が死後に堆肥化されることをおそらく、または確実に検討すると回答している。また、アイルランドでは、ヨーロッパ初の液体で死体を分解する「水葬施設」が数ヶ月以内にオープンする予定だという。

・合わせて読みたい→葬儀中、スマホで写真を撮るのはマナー違反? 「意外な真相」が判明した…

(文/Sirabee 編集部・びやじま

日本人の葬儀 (角川ソフィア文庫)【Amazonでチェック】

アメリカ環境問題葬儀土葬火葬堆肥コロラド州ワシントン州カリフォルニア州翻訳記事ニューヨーク州肥料オレゴン州持続可能テラメーション水葬バーモント州
シェア ツイート 送る アプリで読む

人気記事ランキング