いい店を探すときに頼る「禿げ白髪の法則」 恩師きっかけで知った老舗の蕎麦店

【松尾貴史「酒場のよもやま話 酔眼自在」】経験で培った「いい店」を見つけるコツとは…。

2023/03/19 05:00

居酒屋

関西などでの番組収録、地方公演や旅番組のロケ撮影などで東京以外の地域に行くときは、なるべく前乗りか延泊のスケジュールを取って、酒場を訪れることにしている。その土地土地の美味い物や地酒、地元の人たちの観察、あわよくば交流などを目論んでのことだが、毎度そうしておいて本当に良かったと思う。



 

■酒場を探すときに使う「禿げ白髪の法則」

インターネットなどで店を見つけることもあるが、一番頼りになるのは自分の「勘」である。悪天候でなければ、しばらくその店の前で中から漏れてくる喧騒を聞いたり、時折、客や店の人が出入りをする時に開く入り口から中の様子を観察するのが慣例になっている。

私が採用している方式は、「禿げ白髪の法則」という、すこぶる単純なものだ。たまに開く戸の隙間からすかさず中を見て、客の中に禿げたおじさん、白髪のおじさんたちが機嫌よく飲んでいる様子が見えれば、安心して入店するのだ。なぜ禿げと白髪なのかは説明はいらないだろう。ともに年齢層の高い人たちという意味だ。だから、若白髪や若禿はこれに含まれないが、チラリと覗き見て観察するには難易度が高くなるけれど、それほどシリアスな問題でもないので捨て置こう。


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■ハズレの確率を減らす

大体、おっさんというものは我慢ができない。わがままになっている人が多い。仕事をしていても、周りに気を遣わせ、なんでも優先順位を上げてもらい、甘やかされていることが多いのだ。だから、居心地や、店員の受け答え次第ではすぐに怒ることになる。彼らが機嫌よく飲んでいるということは、応対がまともで居心地も快適な空間なのだろう。

重ねて、彼らは舌が肥えている。味覚に関しては、人生経験の中でそれなりにいろんなものを食べてきているので、ある水準を超えていなければその店に通うことは少ないだろう。酒の経験値も、若い人よりは積み重ねが多いだろうし、美味い飲み方も知っている。

いや、そうはいっても個人差は大きい。飲食に関しては、頓着せずに無駄に歳を重ねた人もいるだろう。私の方式は、あくまでハズレの確率を減らすということに過ぎないので、「こうすれば大丈夫」というものではない。あくまでも総合的な判断なのだけれども、そのきっかけとして禿げ白髪を使うということに過ぎない。

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