「殺害予告メール2万通」の新藤かなさんに直撃 落選運動の対象にも
統一地方選挙の港区議選に立候補予定の新藤かなさんにインタビュー。殺害予告メールが選挙活動に影響しているほか、「落選運動リスト」にも名を連ねている。
■落選運動の対象に
殺害予告メールのほかに、もうひとつ気になる動きがある。インターネット上で拡がる「落選運動」だ。候補を応援する通常の選挙活動とは異なり、特定の候補をリストアップしてその対抗候補などへの投票を促すもの。
落選運動自体は公職選挙法で禁止されておらず、今回の統一地方選挙においてもいくつかのリストが拡散している。
その中には、政策を基準としたものだけでなく、デモなどで支援者と反対派の物理的な衝突まで起きている「一般社団法人Colabo」の問題を軸にしたリストも。新藤さんは、そうした複数のリストにおいて落選させるべき候補の対象とされている。
具体的な政策であればともかく、感情的な対立が激しい問題を落選運動のテーマにすることには疑問も残る。ヘイト(憎悪)の凝縮にも見えるこうしたリストが、「投票行動の判断」以外にも使われるリスクが否定できないためだ。
新藤さんへの脅迫メールが落選運動と関連したものかどうかは、現段階では不明。しかし本件に限らず、落選運動のようなネガティブキャンペーンが何らかの犯罪を誘発した場合、リスト作成や拡散に加担した人間は、少なくとも道義的責任を免れえないだろう。
また、脅迫メールにまつわる事件ではこれまでも逮捕者が出ており、捜査の進展が待たれる。
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■「表現の自由」でフェミニストと対立も
Colabo支持者らによる落選運動リストには、実際に議会でこの団体の「バスカフェ」活動やその費用などについて質問に立ったり、SNSやYouTubeなどで何度も情報発信を行った議員も含まれている。
「この問題について発信したことはそれほどない。女性支援の志は素晴らしいと思う」と新藤さん。ただ、「表現の自由などのテーマでラディカルフェミニストの人たちとたびたびぶつかってきたからではないか」と振り返る。
たとえば、2019年に起きたいわゆる「草津町冤罪事件」では、町長によるセクハラを訴えてリコールされた新井祥子元町議を多くのフェミニストやメディアが支援。
海外にも報じられたため、古くからの温泉地として愛されてきた草津は「女性差別の町」とされ、甚大な被害を受けた。しかしその後、録音データなどにより証言が虚偽と判明した新井元町議は、昨年、虚偽告訴罪・名誉毀損罪で起訴されている。
新藤さんは、草津町を応援するため、今年1月に友人の女性たちと草津温泉に宿泊。Colabo代表の仁藤夢乃氏が批判したことで一時はプロジェクトの存続が危ぶまれたキャラクター『温泉むすめ』との記念写真なども投稿している。
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■「ゆづか姫」配信で人気に
小学3年生からインターネット掲示板『2ちゃんねる』に親しみ、高校1年生でニコニコ生放送を始めた後は「ゆづか姫」名義で人気配信者だった新藤さん。
さらに、初めてのアルバイトは秋葉原のメイド喫茶だったそうで、自らがその中で育ったサブカルチャーやいわゆるオタク文化には造詣が深い。
「表現の自由は民主主義の根幹。人の好き嫌いを軸にして安易に規制してしまうのは極めて危険」と訴える。
民放キー局全てが本社を置き、芸能事務所や制作会社、音楽関連などクリエイティブ産業の集積地でもある港区。「民間のクリエイティブの発信力はすごいが、シティプロモーションなど行政の発信力はまだまだ」と課題も投げかける。
政治家を志すきっかけとなった動物愛護活動にも関連して、現在は湾岸地域に2ヶ所しかない港区内のドッグランをより柔軟な形で他のエリアに展開することも提言している。
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■「初めて本気で当選したい」
「前回の選挙(都議補選)は主張することがメインでしたが、今回は愛着のある地元で、また実現したい政策もあるので、初めて本気で当選したいと思っています」と新藤さん。
激しい妨害を受けながらではあるが、あくまで撤退はせず予定通り立候補するそう。勇気ある挑戦に期待したい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)