日本人の3割超、リポビタンDの読み間違えていた 「おじさんの発音」と思いきや…
ストレス社会を生きる現代人の頼れる相棒、それがリポビタンD。しかし、3割以上の人々が「読み方」を勘違いしていると判明し…。
世の中には「あれ、どっちだったかな…」とおぼろげに記憶してしまう事象が多々あるが、その正式名称が誕生した「背景」を知ると、思わず納得してしまうもの。賢明なる読者には既知の事実として映ったり、「細かすぎるだろ!」とツッコミを入れたくなるケースもあるかと思うが…決して少なくない人々が「誤って記憶している事象」の正体について探っていきたい。
今回取り上げるのは、ストレス社会に生きる我々の相棒的存在である「あの栄養ドリンク剤」の正式名についてである。
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■リポビタンD、何と読む?
「ファイトー!」「イッパーツ!」のCMでお馴染みの商品といえば、ご存知『リポビタンD』。
「飲んだことがない」という人がいても、この商品名を「見たことがない」という人はいないはずだ。そんな圧倒的知名度を誇る同商品だが、意外と知られていないのが商品の「正しい読み方」である。
以前、全国の10〜60代の男女1,000名を対象として「リポビタンDの『D』の読み方はどちら?」というアンケート調査を実施したところ、全体の30.1%が「ディー」と回答し、残る69.9%は「デー」と回答していた。
多くの日本人がDの読みを「ディー」と認識していることと思うが…リポビタンDに関しては「デー」と読むのが正解なのである。
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■「デーはおじさん読み」と思いきや…
Dを「デー」と読むことに「おじさん臭さ」を感じ、つい敬遠してしまう人もいることだろう。
しかし今回のアンケートの年代別回答を見ると、10〜30代の正答率が約67%、それ以降の世代が約72%となっており、若者世代とおじさん世代における差はそこまで大きく感じられない。
むしろ性年代別の回答結果では、10〜20代男性グループの正答率がおじさん世代を上回り、最も高い80.8%を記録しているのだ。
とはいえ、同商品はなぜわざわざ「デー」の読み方を採用しているのだろうか。リポビタンDを販売する「大正製薬」に詳しい話を聞いてみたところ、大ヒット商品の意外な真実が多数明らかになったのだ…。
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■「逆転の発想」から生まれた商品
商品名の由来について大正製薬に尋ねると、「脂肪分解」を意味する英単語「リポクラシス」(lipoclasis)と「ビタミン」(vitamin)と、開発番号の「D」が融合し、我らがリポビタンDが誕生したと判明。
Dの読み方について、担当者は「『デー』はドイツ語発音となっており、これはリポビタンD開発当時、医薬・薬学の主流がドイツであったことに由来しています」と説明していた。この説明を聞くと、今まで「おじさん臭い」と感じられた「デー」読みが、急にクールな発音に感じられてくるから不思議である。
突然ですが…
「リポビタンD」は
リポビタン“ディー”じゃなくて
リポビタン“デー”なんです。
ドイツ語読みなんです。
これからもよろしくお願いします🔥🏉#いいにくいことをいう日#リポビタンD #ファイトイッパーツ pic.twitter.com/gcA9dCoFbM— 【リポD】ラグビー応援部 (@Lipod_Rugby) November 29, 2021
令和の現代でも「無くてはならない存在」といえるリポビタンDだが、1962年(昭和37年)の発売当初はまさに「革命的商品」だったようだ。
開発の経緯について、大正製薬は「リポビタンD発案者は当社の中興の祖である、故・上原正吉名誉会長です」「従来、薬は苦くて不味いもの、と一般的に考えられていましたが、当社のアンプル剤は『味が良い』と好評を頂いておりました。そこから上原は『大型、即ち薬に水を加えて量を多くすれば、いっそう苦味や不味さが薄くなる。さらに味をつけ、冷やし、従来のアンプル剤である『リポビタン液』よりもっと美味しいものにしたら歓迎されるのでは』と着想を得て、このアイデアに基づいて製品化されたのがリポビタンDです」と、その詳細を説明してくれた。
発売当初は当時高級品であった「パイナップル風味」の味付けだったが、現在は「ミックスフルーツ風味」を採用するなど、嗜好の変化や時代のニーズに合わせている点も、同商品が長く愛され続けている秘密だろうか。
また、当時のリポビタンDの瓶には簡単にすぐ飲める工夫として、キャップのつまみを引くだけで開く新型キャップ(ポンキャップ)が採用していたそう。現在は、我々のよく見慣れた「スクリュー式」が採用されている。
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■リポD、こんなに関連商品が…
昨年22年で、発売60周年を迎えたリポビタンD。今回の調査結果にて、そんなロングセラー商品が、現代の若者らにも広く認知されていたことに改めて気付かされた思いだ。
大正製薬も調査の結果を受け、「老若男女を問わず親しみのあるブランドであり続けるために、女性用の『リポビタンファイン』、錠剤タイプの『リポビタンDX』、子供用の『リポビタンDキッズ』(いずれも指定医薬部外品)、ゼリータイプの『リポビタンJELLY』(清涼飲料水)、スポーツを頑張る人の『リポビタンfor Sportsシリーズ』(食品)などを展開しています。これら多くのリポビタンブランドが若年層にも認知頂けている結果に繋がり、大変嬉しく思います」と笑顔のコメントを寄せている。
加えて「これからも皆さまの『ファイトのそばに』『一歩を、一緒に』歩めるブランドであり続けていきます」と、熱い思いを語ってくれたのだ。
新しい生活の始まる4月は、慣れない環境で体調を崩してしまいがち。無理せず体を労わりつつ、リポビタンDで栄養補給してみてはいかがだろう。
今回のように細かい部分の表記で、多くの人が誤解していそうな商品名・企業名・チェーン名等があれば、ぜひSirabee編集部に情報を寄せてほしい。日常に隠れている小さな『気になる』の謎を共に解き明かそう。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
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