吉野家、オレンジと黒の看板があるのはなぜ…? 「新スタイル」の店舗が最強すぎる

東京・恵比寿にはオレンジと黒い看板の吉野家が隣接している。「その理由」を取材してみると…。

2023/04/29 04:15


吉野家

日本3大牛丼チェーン店の一つ、吉野家。同店の看板といえば、オレンジ色がお馴染みだが、最近は黒い看板の店舗も増えている。

オレンジと黒の吉野家の違いはというと…。


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■恵比寿駅の吉野家で気付いたこと

吉野家

3月下旬のお昼すぎ、東京・恵比寿付近で仕事を終えた記者は昼食のため「吉野家恵比寿駅前店」に入った。ふと看板を見ると、お馴染みのオレンジではなく、黒色であることに気付く。

中に入ると、テーブル席や仕切りの付いた席が多数設置されており、オシャレな雰囲気。カフェのような感覚でゆったりと食事できた。

吉野家

食事を終え、帰路につく途中、今度はオレンジ色の看板が掲げられた「吉野家恵比寿駅東口店」を発見。普段あまり意識しなかったが、なぜ同じ吉野家で2色の看板があるのだろうか。

「恵比寿駅前店」をはじめ、最近は黒い看板の吉野家を見る機会が増えた気がする。


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■黒い看板の吉野家の秘密

オレンジ色と黒色の吉野家、一体何が違うのか。吉野家に問い合わせたところ、同社の担当者から「2016年以降に登場したクッキング&コンフォートスタイルとジグソースタイルという店舗フォーマットの場合、黒い看板を掲げています」という答えが返ってきた。

吉野家

聞き慣れないワードが出てきたので、詳細を尋ねた。「クッキング&コンフォートスタイルの店舗は、はじめにレジで注文を伺い、会計を済ませた後、お客様がご自分で商品を受け取り、席まで運んでいただくスタイルです。お客様に商品を取りに来ていただく代わりに従業員は調理に集中し、より早い提供、より美味しい商品の提供を実現します。クッキング&コンフォートスタイル限定のメニューも提供中で、従業員の制服もネイビー&ホワイトと限定のものとなっています」(前出・担当者)。

吉野家

冒頭で記者が訪れたように、オシャレな空間が特徴的で、店内にはドリンクバーや充電器もあるそうだ。ジグソースタイルは、ジグザグ型のカウンターが特徴だという。

吉野家

「店内内装はワインレッドを基調としたシックな装いとし、お客様に落ち着いて食事を頂けるよう配慮した空間にしています。従来の商品を提供しており、限定商品はございません。従業員の制服も同様に既存店舗と同様のものになります」(前出・担当者)。

いい意味でこれまでに抱いていた吉野家のイメージを覆される…。なお、先述した店舗以外にも一部、都市の景観条令に準じて黒い看板を掲げているところもあるそうだ。


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■「新スタイル」の店舗が増加

看板の違いがわかったところで、改めて、恵比寿にオレンジと黒の吉野家が隣接している点について聞いてみた。前出の担当者によると、「吉野家恵比寿駅前店」が黒い看板なのはクッキング&コンフォートスタイルだからだという。

吉野家

吉野家

「同店はクッキング&コンフォートスタイルの1号店であり、出店当時は同スタイルならではのサービススタイルやスタイリッシュさを演出するため、黒色ベースに白文字の『吉野家』で看板を計画しました。その後、看板の視認性をあげるため、『吉野家』をオレンジ色へ変更し、現在に至ります」(前出・担当者)。

「恵比寿駅前店」は、「新スタイル」の先駆けだったのだ。クッキング&コンフォートスタイル、ジグソースタイルを取り入れた店舗は増えているという。

「3月末現在、クッキング&コンフォートスタイルの店舗は257店舗、ジグソースタイルの店舗は54店舗ございます。両店舗共に拡大中のため、地域によっては既存の吉野家と黒い看板の吉野家が隣接するケースも増えています」(前出・担当者)。


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■知られざる看板の歴史

吉野家

吉野家は1968年以降、全国に店舗を拡大してきた。前出の担当者によると、当時の看板は六角形の看板を採用していたという。

「90年代中盤から、長方形のオレンジ看板へ変更し、2012年以降から現在の原型となるオレンジ&グリーンの看板を掲示するようになりました。ブランドカラーのオレンジに加えてグリーンを採用したのは、時代に即して『エコ』や『衛生』のイメージを強く打ち出すためです。看板の変更と同時に、店舗従業員が着用するユニフォームの色もグリーンの制服に変更しました」(前出・担当者)。

時代と共に吉野家が「進化」し続けていることが窺える。これからも、吉野家は安くて美味しい牛丼で我々のお腹を、そして心を満たしてくれることだろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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