自民党の派閥は機能しているのか? 「政策集団」に立ち返れるかが今後の焦点

【舛添要一『国際政治の表と裏』】統一地方選挙と衆参の補選が終わり、自民党政権は辛くも勝利を収めた。選挙が話題に挙がった今、改めて同党の派閥について考えてみたい。

2023/04/30 05:00


 


 

■自民党の派閥とは?

自民党には派閥がある。派閥とそこに属する国会議員数を見ると、安倍派(清和政策研究会)が95人、茂木派(平成研究会)が54人、麻生派(志公会)が54人、岸田派(宏池会)が45人、二階派(志帥会)が41人、森山派(近未来政治研究会)が7人である。

そもそも、自民党の派閥の目的、機能とは何か。派閥は、自分たちの領袖を首相にすることが目的の集団である。親分が首相になれば、子分の自分も大臣になれるかもしれないと思い、議員たちは汗を流す。一般的に、派閥の規模に比例して、大臣、副大臣、政務官のポストが配分される。従って、派閥は、所属する議員の数を増やそうとするのである。

タテマエを言えば、派閥とは政策集団であり、同じような考えを持つ政治家が集まるはずである。たとえば、岸田派はハト派、安倍派はタカ派というイメージである。しかし、個々の議員に当たってみると、実際はそうとは限らない。つまり、現実には政策はあまり大きな要素ではない。


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■中選挙区時代の派閥

自民党の派閥は、中選挙区制という制度が生み出したものである。中選挙区とは、一部の例外を除いて、定数が3〜5である。自民党は強くて、一つの選挙区から複数の当選者を出す。たとえば、5人区では5人とも自民党ということがありうるし、4人、3人、2人と、複数が当選する。そうなると、野党候補との戦いよりも同じ自民党の候補との競争のほうが熾烈になる。

かつて「三角大福中」と言われた三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘が率いる5大派閥の時代に、たとえば、田中派と福田派の議員がいる選挙区で、新人が対抗して出馬しようとすると、それ以外の三木、大平、中曽根の派閥から立候補するしかなくなる。こうして、定数5と派閥数5が一致するのである。

問題は、同じ自民党から複数の候補が戦うのだから、政策の競争ではなく、ばらまくお金の競争となることである。派閥は、「カネとポストの配分単位」でもあった。そこで、「カネのかかりすぎる選挙」が問題となり、小選挙区制に移行したのである。


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■小選挙区での派閥

衆議院が小選挙区比例代表並立制を導入してからは、派閥は中選挙区時代のような大きな役割を果たさなくなった。小選挙区では1人しか公認候補は出さないので、派閥間の競争はあまりない。公認権を持つ総裁(首相)が誰を公認するかを決めるのであり、そこで首相官邸の力が強くなったのである。「安倍一強」という時代がそうである。

そこで、小選挙区時代には、親分を首相にするという派閥の最大の目的は少しぼやけてしまった。岸田文雄が内閣総理大臣だということは、最大派閥でなくても首相になれるということである。

派閥は、もともとは政策集団であるべきであり、各派閥が「切磋琢磨」(大平正芳の言葉)して政策を磨き、それを有権者に支持してもらうのである。派閥は、今こそ、この原点に立ち返るべきではなかろうか。


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■執筆者プロフィール

舛添要一

Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、元厚生労働大臣・前東京都知事で政治学者の舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。

今週は、「自民党の派閥」をテーマにお届けしました。

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(文・舛添要一

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舛添要一国際政治の表と裏
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