買い物時に複合できる「ポイント還元」 凄い割引になった分は誰が負担しているのか

【鈴木貴博『得する経済学』】買い物時にお得なポイントキャンペーンの併用。そのお得分は誰が負担しているのか? 経済学で説明する。

2023/05/07 05:30


楽天カード

「結構、お得になりましたね」

と言われた私も満面の笑顔です。

金子眼鏡店というちょっと古風な眼鏡の販売店で新しい眼鏡を新調したときの話です。素敵なフレームのデザインなのですが価格帯はちょっとお高め。それで少しでもお安くなればと誕生日に届くダイレクトメールを持って訪店したのです。

今回のDMはがきは提示すると15%オフになります。高級ブランドのお店の買い物で15%ならかなりお得になるのですが「それに加えて」という話がここから始まります。

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■お店のクーポンと楽天のキャンペーンを併用

ちょうどお店が入っている東急百貨店がキャンペーンを実施中で、エントリーすると「楽天ポイントが最大10倍」になるという告知がレジのところに表示されていました。それでそれもエントリーしたのです。

楽天ポイントの付与率は通常は買い物金額の0.5%なのですが、このキャンペーンにエントリーしたことで5%のポイントがつくことになったのです。これはなかなかいいことになってきました。

さらに、「お会計はクレジットカードでお願いします」という形の支払いにしたのですが、私の持っているクレジットカードは特別なもので還元率が2%になります。

ですから合計してみると…。


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■ポイント還元率を合算すると「22%」

合計してみると今回のお買い物、還元率を単純合計したら22%! 5万円の眼鏡なら1万円以上得した計算になります。それが冒頭のシーンです。結構お得になって、私は満面の笑みを浮かべて帰宅することになったのです。

しかしよくよく考えてみたら、この私がお得になったことで眼鏡屋さんは大損していたりしないでしょうか? このあたりのメカニズムが気になる人のために、この割引は誰が負担しているのかを整理してみたいと思います。

まず眼鏡屋さんが負担した金額はダイレクトメールの15%オフが大きくて、これは私のお誕生日へのお店からのプレゼントです。プレゼントとはいえ、そのハガキによって金子眼鏡で買い物をしようと考えたわけですから、損をしたわけではなくて逆に「販売促進費を使ったら、さっそくその効果が出て良かったね」というお店が得をした話です。よかったよかった。


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■お店が負担しているコスト分はいくら?

実は眼鏡屋さんが地味に負担をしているコストがあります。わたしがクレジットカードで決済したことで、カード会社にお店が支払う手数料が発生したのです。お店によって手数料率は違うのですが一般には3~5%ぐらいの手数料をお店は取られてしまいます。

お店から見ると本当はクレジットカードよりも現金が嬉しいのです。ただキャッシュレスが進んでいる昨今、大きな現金はみな持ち歩かないようになってきていますから、ここはまあ商売をするうえで仕方のない必要経費ですね。

そしてクレジットカードのポイント2%分は私がたくさんクレジットカードを使うようにと設定したクレジットカード会社の販売促進費です。実はクレジットカード会社から見ればたくさんカードを使ってくれる人にはたくさん販売促進費を使っても元がとれます。

わたしは経済評論家ですが小さな会社も経営しているので、会社の必要経費で結構な金額をカードで支払いをしています。カード会社から見れば上客なので、ポイントが高くても元がとれるのでしょう。


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■得したお金の大半は実は販促の投資分

さて、今回私が思いがけず得したのは楽天ポイント5%還元分です。これは誰がお金を出してくれているのでしょう。配分比率はわかりませんがお金を出してくれているのは楽天と東急百貨店です。

楽天は街中で楽天ポイントをもらう人や使う人が増えてほしいので、その広告宣伝としてこのようなキャンペーンをたくさん行っています。東急百貨店もお得なキャンペーンで来店客にたくさんお金を使ってほしいのでキャンペーンに参加しています。つまり5%分得したお金の出元は両社の広告宣伝費だったわけです。

話をまとめると1万円も得をさせていただいて、誰か損をしているんじゃないかと思ったのですが、結論からいえば眼鏡屋さん、カード会社、百貨店、楽天と関係しているひとたちの広告宣伝や販売促進に私が役立っていたのですね。自信をもって買い物をすれば大丈夫ということです。


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■著者プロフィール

鈴木貴博

Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。

今週は、「大幅割引と大量のポイント還元で儲かったときのメカニズム」について解説しました。

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(文/鈴木貴博

鈴木貴博著『日本経済復活の書 2040年、世界一になる未来を予言する』【Amazon】

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