オリ・宮城大弥、プロ野球選手では“異例”の取り組み 「宮城大弥基金」4月から運用

オリックスの宮城大弥が「宮城大弥基金」を設立。現役のプロ野球選手では、異例とも言える取り組みに注目が集まっている。

2023/05/14 19:00

宮城大弥

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表にも選出されたオリックス・バファローズ所属の宮城大弥投手が、経済的な理由で野球を続けるのが困難な地元・沖縄の子供たちを支えるため、一般社団法人「宮城大弥基金」を設立し、4月から運用を始めた。



 

■子供たちに対し支援・援助

貧しい境遇で育った経験を踏まえ、父・宮城享さんと実現に向けて準備を進めてきた。対象者には原則小学校から高校卒業まで、用具代や遠征費など野球に必要な費用を援助する。

現役のプロ野球選手では、異例とも言える取り組みに注目が集まっている。

「プロ入り前から、当基金の理事である父と約束していました。将来を経済的な理由で断念しないようにサポートする団体を創ろうと。2022年にその夢が叶い、当基金の発足となりました。家庭環境や所得格差に起因する経済的な問題等が多様化する社会において、さまざまな困難な状況にある野球をしている子供たちに対し、支援・援助を行い、豊かな人間性を育て、心身共に優れた競技者かつ社会人を育成し、スポーツ文化の発展と青少年の健全な発達に寄与することを目的としています」。

同法人のホームページに記された宮城投手の言葉だ。


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■父親の想い

両親と妹の4人家族。享さんは中学の時に交通事故に遭って左手に障害が残り、定職に就くのがままならなかった。

仕事を掛け持ちするなど寝る間を惜しんで働いたが、家計は苦しかった。高校入学までの数年間は、家族4人が6畳一間のアパートで生活したこともある。

押し入れをクローゼット代わりに使い、洗濯機や冷蔵庫はベランダに置いた。4人が1度に横になれず、両親は交代で座って寝たというほどだ。

享さんは、「障害を持っていることが今ほど社会に受け入れられる時代じゃなかった。貧しいことで子供たちがいじめられたこともあり、その原因を作っているのが私なので余計につらかった」と振り返る。


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■幼少期の経験

宮城投手は5歳の頃から小学生のチームでプレーするほど野球の才能に恵まれた。

だが、最初に買ってもらったグラブは革製ではなく、安いおもちゃのビニール製だった。それでも毎晩、大事に抱きかかえて寝る姿に「軟らかくして使いやすくしてやりたい」と聞きかじりの知識で電子レンジで温めてしまう。

残ったのは溶けて使えなくなったグラブ。「消えちゃった。魔法みたいだね」。涙をこらえながら気丈に話す息子の姿に心が痛んだ。

小学生の頃はつぎはぎだらけのユニホームを着て試合に出たり、所属チームの月謝の支払いを待ってもらったりもした。中学から始めた硬式野球も、小学5年の時に買ってもらった軟式用のグラブを使い続けた。

中学卒業後は沖縄・興南高校へ進み、20年にドラフト1位でオリックスに入団。21年に13勝して新人王に輝き、昨年も11勝、今季はすでに4勝をマークしている。

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■決意を新たに
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