中国がウクライナに提示した仲裁案 国際情勢を破壊する恐れも
アメリカ国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は最近、中国がウクライナ侵攻の仲裁役となることに深い懸念を表明。その理由とは…。
ウクライナ情勢で激しい戦闘が続くなか、アメリカ国家安全保障会議のカービー戦略広報調整官は最近、中国がウクライナに示した仲裁案に懸念を示した。
■中国が示す仲裁案にある危険性
カービー氏は、中国が示したロシアウクライナ双方に停戦を求める独自の仲裁案はロシアの利益を反映したものだとし、中国がロシアを利する形で仲裁役として動くことを強く懸念していると述べた。
また、中国による仲裁案はロシアによるウクライナ領土占領を常態化させるだけでなく、停戦を利用してロシアがさらに軍備拡張し、さらなる攻撃を誘発する恐れがあるとした。
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■覇権主義国家の暴走を招く
カービー氏が言及したように、仮にウクライナが中国の仲裁案を受け止め、その時点で停戦に合意すれば、ウクライナ東部で未だに占領を続けるロシア軍を事実上認めることになる。
また、それによってロシア軍が再び攻勢を仕掛け、占領地域を拡大すれば停戦、拡大すれば停戦という繰り返しにより、究極的にはウクライナがロシアに占領される恐れもある。
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■武力侵攻勃発の恐れも
そして、そういった事情をロシア以外の覇権主義国家がどうみるかだ。
中国は覇権主義国家の典型例だが、ウクライナが中国の仲裁案に同意すれば、中国などの権威主義国家は、“武力侵攻しても民主主義国家や国際社会は何も動かない”と判断し、なら自分たちもできると確信し、さらなる武力侵攻が他の地域からも勃発するかも知れない。
中国による仲裁案は絶対にのめないものである。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)