賛否分かれる弱冷房車問題 「避ける派」が「選ぶ派」超え、中高年の忌避感も顕著に
1編成に1両はある弱冷房車。暑い日には避けて乗る人、乗ってがっかりする人の書き込みもSNSでしばしば見られるが…。
7月上旬から灼熱のような暑さに襲われている日本列島。とくに真夏日や猛暑日になることが予報されている日などにSNSで話題となるのが、鉄道における「弱冷房車」の問題だ。
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■東京の夏は灼熱化が進む
Sirabee編集部の調査によると、全体の27.5%が「弱冷房車の廃止」を求めていることが判明。また、31.9%が「強冷房車の設置」を求めていることもわかっている。
弱冷房車は、国土交通省が2008年に定めた『公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン』に基づいて設置されたもの。
しかし、2008年と昨年の夏季の平均最高気温を東京を例にとって比較してみると、6〜9月すべてにおいて上昇しており、とくに6月は3℃上昇、8〜9月の上昇幅も1℃を超えている。
地球温暖化やヒートアイランド現象などさまざまな要因が考えられるが、夏の暑さが「かつての常識」から激変していることは明らかだ。こうした状況のなか、人々は弱冷房車に対して実際どのような行動を取っているのだろうか。
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■「避ける」派が「選ぶ」派を上回る
Sirabee編集部が、6月30日〜7月2日にかけて、全国10〜60代男女1,000名を対象に「鉄道の弱冷房車」について調査したところ、「弱冷房車を避ける」と答えた人は全体の12.3%。「嫌だが避けるまでではない」が16.9%。
今回の調査でも3割近くは、弱冷房車に否定的な印象を抱いていることがわかった。
一方、「弱冷房車を選ぶ」と答えた人は10.4%。また、「選びたいが通常車両でもよい」が14.7%。反対派よりは少ないが4人に1人程度は弱冷房車を求めていることがわかる。
なお、最も多かった回答は「とくに気にしない」で45.7%を占めた。
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■男女差はあるが少ない
男性には暑がりや汗っかきの人が多く、女性は冷え性に悩む人も少なくないため、「弱冷房車の問題はジェンダーの問題ではないか」という声もしばしば聞かれる。実際にそうなのだろうか。
今回の調査で「弱冷房車を避ける」「嫌だが避けるまでではない」という回答は女性より男性が多く、「弱冷房車を選ぶ」「選びたいが通常車両でもよい」は男性より女性が多い。
しかし、男性における反対派が32.9%なのに対して女性でも25.6%は弱冷房車に批判的であり、男女差はあるものの「男性だけが反対している」とは見受けられない。また、「弱冷房車を選ぶ」と答えた人の男女差は、わずか1ポイントにとどまっている。
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■中高年は弱冷房車に否定的
今回の調査で、男女差より大きな違いが見られたのは世代差だった。「弱冷房車を避ける」と答えた割合が最も高かったのは、意外にも60代で18.2%。
この世代では35.1%が弱冷房車に否定的で、好意的な人とは9ポイント以上差が開いている。「元気な若い世代が弱冷房車に否定的」という傾向は一切見られず、とくに10〜20代は「とくに気にしない」が6割を超えた。
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■執筆者紹介
タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター
1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。
著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ』(宝島社)
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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)