埼玉で遭遇した看板、その内容にゾッとした… 「県内カーストの真実」に思わず納得
埼玉県・浦和にて、思わず目を疑う看板を発見。果たしてこの看板には、どのような意味が込められているのかというと…。
11月に公開を控えた映画『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』の前作がヒットした影響もあってか、イジられ役として完全に定着した感のある埼玉県。しかし実際は交通の便が良く、非常に住みやすいエリアが多かったりと、魅力にあふれた県である。
そんな埼玉県さいたま市の浦和区にて、思わず目を疑う看板に遭遇してしまったのだ…。
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■この看板、何かがおかしい…
7月某日、記者が愛犬の散歩で浦和の某エリアを歩いていると、何やら見覚えあるイラストの看板を発見。
なんとそこには「埼玉がいじられても浦和のやつは関係ないと思ってる」と、思わず二度見してしまうインパクトを秘めた、凄まじくパンチの効いた1文が記されていたではないか。
他県民からは「ダ埼玉」と揶揄され、県民も自ら「埼玉には何もないから…」と自虐するケースが多い埼玉だが、実際は絶妙なパワーバランスで成り立っている。
その中でも「埼玉カースト上位」に挙げられるエリアと言えば、やはり「浦和」と「大宮」だろう。そこで今回は、埼玉県民の心の声(?)を具象化した「株式会社すんで」の 代表取締役・岡野周平氏に、浦和民を代表して詳しい話を聞いてみることに。
すると「埼玉県民から見た浦和の民」の実態が明らかになったのだ。
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■どんな人物が掲出してるのか?
「すんで」にて不動産仲介業を営んでいる岡野氏は「すんで埼玉」というアカウント名で、ツイッター(現・X)でも精力的に活動中。
「埼玉あるある」や「埼玉自虐ネタ」が多く見られ、そのいずれもがウィットに富んだキレ味抜群の内容で、埼玉県民はもちろん他県民からの人気も高い。
2021年2月には「高崎線民、ミスって土呂で引き返しがち」なる、高崎線・宇都宮線に乗車して大宮以北に北上した経験のある人物にしか理解できない高度な「埼玉あるある」ネタの看板写真を投稿し、大きな話題を呼んでいた。
今回の取材に当たって話を聞くと、岡野氏は鴻巣市出身であることが判明。なお、鴻巣は埼玉県民からは「免許更新の街」と認識されているが、こちらの理由については割愛したい。
23年5月ごろから設置した今回の「浦和」看板は、以前投稿した際に反響が大きかったツイートと、一字一句同じ内容を使用しているという。
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■浦和民vs.鴻巣民
「不動産仲介業」という業種上、県内の土地事情に精通した岡野氏。学生時代に私立の高校に通っており、当時から浦和が地元の友人も少なくなかったという。
その上で「関東有数の住みやすい土地だと思います。電車・道路など交通の便も良いし、郊外的な要素と自然がほど良く合致して、調和していますね。浦和を行き来している方々は心穏やかな方が多いですし、地震や洪水といった災害がほぼ無いのも強みだと思います」と浦和の魅力を挙げつつ、最後に「『埼玉である』以外は完璧と言って良いのではないかと思います」と、キレ味抜群のオチを見せてくれたのだった。
手前味噌で恐縮だが、ここ10年の浦和の進歩・発展は、地元民としても若干戸惑っているのが本音である。
2007年の「浦和PARCO」オープンを皮切りに、13年の湘南新宿ライン、15年には上野東京ラインが開通…と、駅周辺は目に見えて発展していく。便利には違いないのだが、その性急な進化具合に「なぜ急にここまで?」と首を傾げた経験のある浦和民は少なくないだろう。
テレビ番組等で「都会度の指標」として挙がりやすい「スターバックス店舗数」も、浦和駅から徒歩5分圏内に3店舗(うち1軒は蔦屋書店)と非常に充実している。しかしこの、自給自足できてしまう一種の「万能さ」が、浦和の魅力であり、同時に「最大の弱点」であると、岡野氏は警鐘を鳴らす。
前出の通り、浦和の魅力を十分に認識・理解している岡野氏は「浦和は大宮と比較されることが多いですが、この2エリアは明確に異なります。大宮は飲屋街や新幹線が存在し、職場への通勤なども含めて『人が往来する街』ですよね」「一方で浦和は全てが浦和の中で完結できてしまうため、よそから人が来る…というよりは、一種の『排他性』を孕んでいる印象を受けます」と、非常に鋭く分析していたのだ。
さらには「高校時代、浦和出身の友人はみんな『真面目で良いやつ』でしたが、浦和の人は『おもんない』イメージも強いです。全員能力は高いのですが、同質性が高いというか、予想を上回る突拍子も無い行動をとらないというか…」「誤解を恐れずに言うと、浦和は『良いやつを大量に生産している街』という印象を受けます」と、あまりにオーバーキルなコメントが。
この看板について本日取材うけたんだけど、内にある想いとか聞かれても、浦和に虐げれた県北の反逆でしかないんよな。。 pic.twitter.com/2lw2rLKXW8
— すんで埼玉 (@sunde_saitama) July 15, 2023
こうした傾向は埼玉出身の芸能人・芸人を見ても明らかなようで、「浦和出身のイジリー岡田さんは芸風で誤解されがちなのですが、根はとても真面目な方です」「しかし埼玉北部には、加須市出身のカズレーザーさんや、秩父出身のバナナマン・設楽統さんなど、尖った性格の方がとても多いです。やはりイノベーションは浦和でなく、より北の方角からやって来るのではないでしょうか」と、持論を展開している。
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■「無知さ」から来る誤解
そんな岡野氏は「浦和は埼玉県のカーストの中でもトップクラス、最上位にあると思います。しかし浦和の方々は、それ故に『不便さ』を知らないのだと感じました」「『平均的な埼玉県』という意味では、我が鴻巣こそが、その代表格ではないでしょうか」とも語っている。
浦和以外のエリアに住んでいる埼玉県民や、他県民は浦和民が醸し出す「浦和は埼玉の中では別格だぞ」オーラが鼻についたり、「でも結局、埼玉では?」と一笑に付した経験があることだろう。
もちろん中には浦和と他エリアを比較し、その上でマウントをとってくる浦和民もいるかと思うが、浦和民を代表して言わせてもらうと、これには「埼玉の平均値に関する無知さ」が大きく起因していると考える。
記者自身、小中高と浦和〜北浦和の学校に通っており、遠征等のある部活動に所属していなかったことから、大宮より北のエリアを明確に意識し出したのは大学に進学してからであった。そのため、多感な時期には脳内にある埼玉の白地図が「大宮〜浦和〜川口」のエリア内だけで完結していたのだ。
前出の岡野氏の分析にもあるように、浦和は内部だけで十分生活でき、且つ都心部へアクセスしやすい環境を備えているため、住民は意識的に埼玉の他エリアへ目をやらなければ、「浦和=一般的な埼玉」という偏った思考に陥ってしまう。
この、悪意の無い認識のズレが「浦和のやつは(埼玉県民のくせに)お高くとまっている」という周囲の意識や誤解を助長してしまうのではないだろうか。
冷静に読み返すと、浦和だけでなく埼玉県の全方位を敵に回しているともとれる件の看板だが、掲出から一度もクレーム等は来ていないという。
こちらの内容を受けてドキリとした浦和民は、埼玉県民である自覚を持って自県への理解に励んでほしい。また他エリア・他県民の人々は、浦和民の置かれた環境に起因する「認識のズレ」に、幾ばくかの理解を示してもらえないだろうか…。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)