台湾有事の陰に隠れる朝鮮有事 北朝鮮は行動をエスカレートさせるか
ロケットやミサイルを発射し続ける北朝鮮。その背景には、韓国のユン政権が日米とタグを組むことへの強い不満がある。
北朝鮮がロケットやミサイルの発射を繰り返すなか、韓国のユン大統領は8月下旬に開催した国家安全保障会議の中で、北朝鮮による挑発が今後さらにエスカレートする恐れがあり、韓国軍や警察になどに対して備えを強化するよう要請した。
■ソウルでは避難訓練も
ソウルから北朝鮮との国境は車で1時間程度の距離にあり、北朝鮮の脅威は目の前にある。そのような中、ソウル市内では8月北朝鮮からミサイルが飛んできたとの想定で避難訓練が行われた。
ソウル市内では空襲警報のサイレンが鳴り、車やバスは一時ストップし、市民たちは地下鉄の駅に避難するなどした。市民参加の訓練が行われるのは6年ぶりとなった。
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■今後北朝鮮はどう出てくるのか
ユン政権が誕生して以降、南北関係は急激に冷え込み、北朝鮮はユン政権が日本と米国と関係を強化することに苛立ちを強めている。
それがミサイル発射を繰り返させているのだ。北朝鮮が突如韓国に進軍を開始することは考えられないが、ソウル周辺海域などにロケットやミサイルが撃ち込まれる可能性は十分にある。2010年11月には、ソウルの西に浮かぶ延坪島に北朝鮮から砲撃があり、犠牲者も出ている。
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■北朝鮮と中国の接近
そして、さらに懸念されるのが中国の北朝鮮への接近だ。
コロナ禍で中朝関係は停滞していたが、最近両国を結ぶ列車の往来が久々に忙しくなっている。貧困に直面する北朝鮮としては中国から食料物資を得たい一方、中国には経済や軍事面で北朝鮮を上手く利用したい。
中国軍が北朝鮮に拡大することはないだろうが、今後は北朝鮮と中国の接近が最大の懸念事項だ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)