店頭に捨てられたビニール袋、酷すぎる中身に目を疑う 「許してはいけない」と怒りの声
猫の保護活動を行なう店舗の入り口に遺棄されたビニール袋。その中身に「許せない」と怒りの声が寄せられていたのだ。
ペットショップ大手「Coo & RIKU(クーアンドリク)」の動物管理や契約トラブルをめぐり、ペットの「生体販売」が改めて問題視されている昨今。以前X(旧・ツイッター)上では、動物を保護する施設の前に遺棄された「ビニール袋の中身」に、怒りの声が寄せられていたのをご存知だろうか。
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■「ビニールの中身」に目を疑う
今回まず注目したいのは、Xユーザー・農業姉妹さんが、7月5日に投稿した1件のポスト。「いつかあるだろうとは思っていたけど、初めてお店の前にあからさまな捨て猫をされました」と綴られた投稿には、3枚の画像が添付されている。
1枚目の画像を見ても猫の姿は確認できず、結び目のあるビニール袋が置かれているのみ。しかし、3枚目の画像を見ると…。
そこには、ビニール内にある発泡スチロールの箱の中に詰め込まれた「4匹の猫」が写っていたのだ。
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■発見時の状態が酷すぎる…
投稿からわずか数日で、7,000件以上ものリポストを記録した同ポスト。他のXユーザーからは「こんなことできる人間がいるのが信じられない」「ビニール袋、縛られていたのか。本当に酷い…」「捨てた人間も同じ目にあってほしい」「この暑さの中、猫ちゃんたちを殺す気でしょうか…?」「絶対に、許してはいけない」など、怒りの声が多数寄せられていたのだった。
発見時の詳細についてポスト投稿主・農業姉妹さんに話を聞いたところ、農業姉妹さんの経営するカフェ兼マンゴー販売所の前に、猫たちが放置されていたことが判明。
農業姉妹さんは同店舗にて猫グッズの販売や保護猫の世話などを実施し、保護活動の拠点にもしているとのこと。
そうした背景を踏まえた上で、今回の一件について「私が保護猫活動をしており、ある程度認知されてきていたこと、また最近(取材当時)は野良猫の出産シーズンでもあり、子猫があちこちで生まれる時期なので、子猫のやり場に困った人がこういう形で遺棄していくケースがいつかあるのではないかと常々思っていました」と振り返っている。悲しいことに、他の保護団体の間でも、そうした話をよく耳にするという。
7月の暑さの中、口を縛られたビニール袋という劣悪な環境に放置された猫たちは無事だったのだろうか…。発見時の状態について、農業姉妹さんは「みんなひどい猫風邪で、1匹は角膜炎が酷く、下手したら失明するところでした。保護した翌日には病院にかかり、その後はご飯をたくさん食べて元気に育っています」「失明寸前の子については、改善傾向ではありますが、まだ完治はしていません」と説明している(取材は7月上旬)。
その後、農業姉妹さんや店舗のスタッフらの愛情ある世話を受けて離乳が済み、トイレでの排泄を覚えた猫たちは、里親募集により4匹とも新しい家族に迎えられることに(9月上旬時点)。
現在の写真を見ると、それぞれが「家猫」らしい穏やかな表情を浮かべており、微笑ましさに安堵してしまった。
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■「ペットの飼い主」に蔓延る問題
猫たちが無事に家族を見つけられひと安心…と言いたいところだが、元凶である人間の身勝手な行動には激しい怒りを覚えてしまう。
今回の一件は決して「美談」で終わらせて良い出来事ではないはずだ。言うまでもなく、愛護動物の遺棄はれっきとした犯罪で、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金に処される。
そこで続いては、様々な猫たちを見守ってきた農業姉妹さんに「ペットを捨てる行為」と「無責任な飼い主」それぞれの根幹にある問題について、率直な意見を聞いてみることに。
こちらの質問に対し、農業姉妹さんは「まず根本にあるものは、動物を飼うということについての正しい知識と想像が足りないことです」と前置きする。
生き物である以上、日々の世話が必要となり、飼い主の自由な時間は減ってしまう。長期旅行にも行きづらくなるだろう。また、日々のエサ代や消耗品代、ノミダニの駆除薬代や年1回のワクチン代、避妊去勢の手術費用、病気になった際の通院費など…ざっとあげただけでも、これらの出費が必要となってくるのだ。
続けて、農業姉妹さんは「こういったことを何も想定せず、『かわいい』という一時の感情に流されて飼い始めた人が無責任に遺棄をしたり、世話を放棄するケースが多いと思われます」と、何よりも大きな問題点を指摘する。
これらに加え、飼い主の責任のひとつである「避妊去勢」に対する考えが甘い、とも感じているそうだ。
こちらの問題については「1匹しか飼わないから避妊しなくて良い、外に出さないから避妊しなくて良い、オスだから去勢しなくて良い、といったように考えている人たちは少なくありません」「そういった猫たちがたまたま脱走して、妊娠して帰ってきたという話も耳にしますし、避妊していないのに外飼いにしている人もいます」「子猫が生まれた時に飼う覚悟ができているのであれば、避妊しないという選択肢もありますが、そんな覚悟を持っている人はほとんどいません。そして生まれてきた子猫たちを持て余します」と、具体例を挙げつつ説明しており、ペットの避妊去勢がいかに重要であるかを再認識した思いである。
「避妊去勢は自然の摂理に反している」と感じ、犬や猫に手術を受けさせることに抵抗を覚えている人もいることだろう。もちろんそうした考えを否定するつもりはないし、実際に避妊去勢手術は「自然の摂理に反している」と、記者自身も考えている。
しかしその上で、我々がペットとして、家族の一員として迎え入れる「愛護動物」は、自然界ではなく人間界に生きる動物であることを強調したい。品種改良などによって、自然界には存在しない種となってしまった動物も決して少なくないだろう。我われ人間には、そうした愛護動物をただ世話するだけでなく、人間社会の一員として正しく管理する義務が存在するのだ。
こうした話題には必ず「人間のエゴ」というフレーズが付き纏うし、前出の手術を「犬猫自身は望んでいない」と切り捨てて考えることは容易である。しかし、これらの手術を施さなかったことが原因で生まれた小さな命たちが、今回の遺棄のように残酷な仕打ちを受ける可能性があると考えると、やはり避妊去勢手術は飼い主による「責任ある行動」として、捉えるべきではないだろうか。
今回の一件を振り返り、農業姉妹さんからは「遺棄された子たちは結果として、みんな新しいお家に迎えられて幸せに暮らしています。だからといって、遺棄した行為は絶対に許されることではありません」「今回のケースを周知することで、真似して捨てる人が出るのではないかという不安もありました。広く知られることが良いか悪いか、まだ判断しかねるところではありますが、願わくば保護の現状や私たちの思いなどを知って頂き、今後良い方向へ進む一助となってもらいたいと思います」と、忌憚のないコメントが得られた。
人間が気軽に口にする「ペットブーム」の裏で小さな命たちがどのような地獄を見て、その皺寄せがどこに向かっているのか、ペットを迎える予定のある人はいま一度、自身の責任と覚悟を確認してほしい。