「このメンバーと1日でも長く野球がしたい」 悲願達成に向けた藤田一也の想い
先月22日に引退会見を行った藤田一也。その後チームはCS進出し、「まだ日本一のチャンスは残っている」と初志貫徹の構えだ。
9月22日、藤田一也は数々の感謝の気持を表し、涙の引退会見を行った。しかし終盤「CSで勝ち上がることによって、みんなとビールかけをするチャンスはまだ残っている」との言葉を発した際、藤田の涙は消え、勝負師の顔に戻っていた。
■最後の勝負へ
その後チームはCS進出を決めることに成功。藤田も大事な場面で代打を任されるなど、貴重な戦力としてチームに尽くした。だが「CS進出が決まっても、会見のときと気持ちは一緒。優勝は出来なかったけど、まだ日本一のチャンスは残っている」とターゲットに向け初志貫徹の構えを貫く。
気になるコンディションも、10日に行われたENEOSとの練習試合では、右中間にヒットを放つなど元気な姿を披露。満を持して敵地に乗り込む準備も整えた。
そのマツダスタジアムでも5割ジャスト、今シーズントータルでも広島戦は打率.667、の数字を残しているが「相性自体には何も思ってないですよ。たまたまですよ」と意に返さない。ベテランはあくまでも自然体で挑む構えを示した。
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■チームメイトも奮起
昨年のCSで最後の打者となり、ファーストベース上で動けなかった藤田に声をかけるなど、 盟友として知られる大田泰示は「勝てば一也さんも一試合でも多くユニフォームを着ていられるので、勝つことが藤田さんにとってもチームにとっても大きいこと。結果勝って一也さんがいい終わり方できればいいと思います」と意気込み、他のチームメイトも異口同音の言葉を発している。
その気持ちには「みんなが声を揃えてそう言ってくれるのは嬉しいです。僕もこのメンバーと1日でも長く野球がしたいです」と藤田の心にも刺さっている。
決して強いとは言えなかった時期に共闘した三浦大輔監督も「そのときに取っておきます」と労いの言葉は胸のうちに仕舞ってある。口に出すのはもちろん勝利の美酒を浴びるそのとき。愛する横浜の地に戻り、最後までユニフォームを着る2チームになるためだけに、23番は勝利だけを目指していまを生きる。
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■執筆者プロフィール
萩原孝弘:1971年生まれ。生まれも育ちも横浜の生粋のハマっ子で、大洋が横浜に移転して以来、一貫してホエールズ〜ベイスターズファン。
23年のオフィシャルイヤーブックもライターとして参加した。あくまでもファン目線で、独自のインタビューコラムや記事を各媒体で執筆中。
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(写真・取材・文/Sirabee 編集部・萩原孝弘)