外来アリの駆除にPCゲームが有用？　研究者が26年前の名作RTSでアリの戦争を再現

かつて朝食シリアルのおまけとして配布されていたこともあり、長い歴史を持つPCゲームが、オーストラリアで外来種のアリを根絶するのに役に立っているという。『ABC』『ACM』などの海外メディアが報じた。

■20年以上前のPCゲーム

オーストラリアの国立科学機関CSIROと西オーストラリア大学は、在来種のアリが外来種のアリと戦うのを助けるために、PCゲーム『Age of Empires（エイジオブエンパイア）』を使用している。

同作は1997年に発売されたリアルタイムストラテジー（RTS）の金字塔とも言える作品。海外ではケロッグ社の子供向け朝食シリアルにおまけとしてディスクが封入されていたこともあり、その普及に一役買っている。

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■アリの戦争は人間の戦争に酷似？

そんなコンピューターゲームが、現実のアリの種族同士の戦いとどのように関係しているのだろうか。研究者の1人であるサミュエル・リンベリー氏は「アリは、規模や死亡率の点で、戦争の仕方が人間の戦争に似ている数少ない動物群の一つです」と述べた。

研究チームは、アリの戦争が人間の戦争に似ていることに着目。ゲーム上でさまざまな規模や形状の戦場を構築し、それらの戦いを観察し、結果を記録していった。

チームはまた、アリの種族間の違いを兵士の性能に置き換えた。強い兵士からなる小さなグループと、非常に大きな数の弱い兵士からなるグループとを戦わせていったという。

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■複雑な戦場では大型アリが有利

チームはこの研究で、オーストラリア在来種である大型のミートアントと、小型で外来種のアルゼンチンアリを重点的に調査していった。

そして彼らは、ゲームの中では複雑な地形の戦場では強い兵士の小さな軍隊がより良い成績を収め、開けた戦場では弱い兵士の大群がより良い成績を収めることを発見した。

これを現実に置き換えると、アリにとって単純な戦場は歩道や都市の公園であり、複雑な戦場とは小さな茂みや低木地帯になるという。

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■「在来種に有利」な環境作り

オーストラリアには50種もの外来種のアリが定着しており、それらの駆除には莫大な予算が費やされるにもかかわらず、完全に取り除くことは信じられないほど難しいと、リンベリー氏は語った。

同氏はこの研究により、都市化された環境に下草を追加したり、より複雑な環境を取り戻すことで、競争を在来アリに有利に戻すことができる可能性があると主張している。

また、今後は単一の種同士ではなく、より複雑な条件でシミュレーションを行い、複数の種にわたって管理することがチームの次なる目標だという。

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（文／Sirabee 編集部・びやじま）