秋葉原の勇者を集めた「オタクだらけの激辛鍋パーティー」　次々参加者が倒れていく中で新たな発見も

寒さが深まってくるこの時期、そろそろ温かい鍋料理が恋しくなる。「楽しく鍋パしましょう」──、アキバの兄弟たちからそんな素敵な誘いを受けた記者は、唐辛子で真っ赤に染まり、湯気だけでむせかえるほどの鍋を現場で提供された。

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■「オタクだらけの激辛火鍋会」

10月末、都内某所のレンタルルームでひっそり行われた「オタクだらけの激辛火鍋会」。フォロワー数30万越えの美女コスプレイヤー、才気溢れる同人作家、敏腕イラストレーター、そしてサブカル界の鬼才フォトグラファーら8人が円卓を囲み、激辛鍋を食すという黒魔術的行事である。

会が企画されたきっかけは、主催男性が畑で栽培してきた唐辛子が収穫できたこと。しかし、唐辛子といってもただのタカノツメではなく、ハバネロやジョロキアなどバラエティ番組でよく見かける激辛トウガラシがじつに14種類。それをすべて一つの鍋に入れるのである。

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■世界の唐辛子が一堂に…

キッチンルームに入ると、獲れたてのトウガラシたちが並んでおり、その脇で一人の男性が机に突っ伏していた。アキバの賢者とも称される同人作家のM氏だ。「唐辛子はね、種が辛いんですよ。だから外側はそんなに…」とかじった瞬間、強烈な辛さと刺激で瞬く間にノックアウトされたという。

M氏の体をよけ、袋を見ると「トリニダード・モルガ・スコーピオン」「ナーガ・モリッチ」「トリニダードセブンポット」「モルガ・イエロー」など聞いたこともない世界各国の激辛トウガラシ。

トウガラシの辛さを示す単位・スコヴィル（SHU）で見ると、ピザなどにかけるタバスコが2500～5000SHUなのに対し、トリニダード・モルガ・スコーピオンが200万SHU前後、ナーガ・モリッチが150万SHU前後と桁違いで、辛いトウガラシでおなじみの「ハバネロ」が35万SHU程度ということを考えると、まさにトウガラシ界のアベンジャーズと言って差し支えない。

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■気管支に入る恐怖と戦いながら…

それをすべて鍋に入れ、煮詰める。味付けは火鍋の素を入れたので中華風だ。

鍋からもうもうと上がる湯気は目と鼻に強烈な刺激を与えるため、調理者は念のためゴム手袋と防護メガネを着用し、誰にも迷惑がかからないビルの屋上で調理。途中、臭いに釣られてアブが数匹飛んできたが、その毒気すら帯びた湯気を浴びると不規則な飛行を繰り返し、林の方面に帰っていった。

完成した鍋をメンバーで試食する。汁をすすると激しい痛みと辛さが口内を襲い、あっという間に唇が腫れ上がる。

想像絶する刺さるような痛みが舌を襲い全身から汗が噴き出る。しかし、何より怖いのが無意識にむせてしまうことである。仮にむせて気管支にこのスープが入りこんだら色々と終わってしまう。その事故を防ぐため、みな「もう、モノ食うってレベルじゃねえぞ！」と憤りを見せつつも、静かにゆっくりと具材を食べていく。

ここで先ほどダウンしていたM氏が戦線に復帰。「…あれ、意外とイケるかも。うん…辛さはあるけど食べられないレベルじゃないね」と調子よく鍋を食べ始めていたが、数分後、顔を真っ赤にさせると静かに箸を置き、他メンバーに「イキリオタク」とディスられていた。蓄積された辛さがボディーブローのように効いてきたのだ。それを笑ってみていた記者もその直後に、戦線を離脱した。

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■予想通り「乳製品」に辛さ軽減効果

この日は激辛鍋の試食と同時に、各自辛さ対策の食材を持ち寄って試した。

参加メンバーから「豆乳、薬効あり」「いかの刺身、薬効なし」と次々報告の声が上がる。結果的に「飲むヨーグルト」と「チョコレート」が辛さを抑えるのに効果的だという結論になったのだが、「先に摂取しておくと胃と舌に油分などの膜が張られ、刺激を抑えてくれる」とグルメ同人作家の一人は分析していた。

記者は、酸っぱさを無くす不思議な果実「ミラクルフルーツ」を買ってきて試したが、舌への刺激は全く変わらず、辛さが圧勝。sirabee編集長におススメされ持ってきた「生クリーム」は、舌にバリアーを張って一瞬辛さを防いでくれたが、液状の激辛スープがまとわりつくと効果を失ってしまい、辛さで悶え苦しんだ。

最後の手段として、自宅から持参した「お母さんが作ってくれたミルク粥」を試す。すると妙なことにコレが一番辛さを鎮静化してくれた。牛乳ととろみのついた米汁が舌周辺をガードしてくれ、辛味をかなり軽減させたのだ。精神的な安らぎもプラス効果になっていそうだ。

今後、激辛鍋に挑戦する読者諸君はぜひこの記事を参考にしてみてほしい。

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■執筆者プロフィール

キモカメコ佐藤：1982年東京生まれ。『sirabee』編集部取材担当デスク。

中学1年で物理部に入部して以降秋葉原に通い、大学卒業後は出版社経て2012年より秋葉原の情報マガジン『ラジ館』（後に『1UP』へ名称変更）編集記者。秋葉原の100店舗以上を取材し、『ねとらぼ』経て現職。コスプレ、メイドといったオタクジャンル、アキバカルチャーからスポーツまで精力的に取材しつつ、中年独身ひとり暮らしを謳歌する。

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（取材・文／Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤）