エレベーターで見せた親切心、とんでもない悲劇に繋がる 「開く」を押したつもりが…

エレベーターの開閉ボタンをうっかり反対に押してしまうミス。じつに8割以上が「経験あり」と判明した理由について、フジテックに聞いてみると…。

2023/11/04 04:45


エレベーター

我々の日常生活において、なくてはならない存在のひとつと言えるエレベーター。しかし、あまりに身近な存在ゆえに「じつはエレベーターのことをよく知らない」という人は決して少なくないだろう。

来たる11月10日の「エレベーターの日」に備え、今回は8割以上の人が経験した「エレベーター内でのイージーミス」について紹介したい。

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■うっかり押し間違えるワケは…

「開く」と「閉まる」は、日本人の誰もがそれぞれの意味を答えられるワード。しかし、場所が「エレベーター」で、対象が「ボタン」となると、難易度が急激に上昇するケースも。

先日、Sirabee編集部が全国の10~60代の男女975名 を対象に実施したアンケート調査によると、「エレベーターの開閉ボタンを誤って反対に押した経験がある」という人は、全体の82.1%と判明したのだ。

エレベーターグラフ

「ひらく」「しまる」と平仮名で表記したり、声に出して読むと違いは明らかだが、「開」「閉」と漢字1文字で表記されると、ついつい混同してしまう。

「←→」(開く)、「→←」(閉まる)といったように矢印記号が表記されたケースもあるが、以前X(旧・ツイッター)上では「→←」の記号デザインによっては「観音開きのドアが開いているに見えて分かりづらい」という投稿に、共感の声が多数寄せられていた。


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■現代のボタン表記、かなり進化していた

「閉まる」と間違えて「開く」を押してしまった場合は、非常に軽微なタイムロスで済む。しかし、気まずいのは「開く」を押すつもりで「閉まる」を押してしまった場合。

エレベーターに駆け寄ってきた人に気を遣ってドアを開いたつもりが、笑顔でドアを閉めてしまった…というサイコパスじみた「やらかし」を経験した人も少なくないだろう。

なおエレベーター業界は、こうした悲劇を防ぐように様々な工夫を施しているという。エレベーターやエスカレーター、動く歩道の専業メーカー「フジテック株式会社」に取材を敢行したところ、同社で導入している3つの対策が判明したのだ。

フジテック

まず1点目は「ピクトグラム表示」で、誰にでも読みやすいUDフォントの文字表示に加え、ピクトグラムでサイン表示を行なうことで、直感的な判断を促すというもの。

2点目は「ボタンサイズの差別化」で、より安全にエレベーターを利用するため、ドアに挟まれるのを防止する「ひらく」ボタンを「しまる」よりも大きく配置しているのだそう。

エレベーター

3点目は「ボタンの色分け」で、こちらの詳細についてフジテック担当者は「『ひらく』ボタンの色をグリーンにしています。『安全』を想起する色であるグリーンを『ひらく』ボタンに使用し、直感的な判断を促します」「また、ボタンは色覚異常のある方でも識別しやすい色合いを採用しています。こうした工夫から、当社のエレベータはカラーユニバーサルデザインの認証を取得しています」と説明していたのだった。

今回の取材に際し、記者もフジテック製のエレベーター数台に搭乗したところ、確かに直感的・感覚的に非常に分かりやすいボタンであると感じた。これならばボタンの押し間違いも、限りなくゼロに近づくことだろう。


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■「年代別の回答」を見てハッとした…

なお、今回の調査結果を年代別に分けたところ、年代が上がるにつれて「反対に押した経験」の割合が大きくなっていることが判明。割合が最も小さい10〜20代は「経験あり」が72.5%であるのに比べ、最も大きい60代は88.7%と、15ポイント以上もの差が生じている。

エレベーターグラフ

これはやはり、過去に製造されたエレベーターには、現代のフジテックが考慮したような洗練された(直感的に分かりやすい)デザインの物が少なかった…ということが影響しているのだろうか。

こうした傾向を受け、フジテック担当者は「インターフェースの改良が、操作のしやすさに寄与していれば嬉しいです」とコメント。併せて「高齢の方は運動機能の低下により『情報→判断→行動』 のスピードが遅くなると言われています。こうした点が押し間違いに影響している可能性も考えられます」とも分析していたのだった。

エレベーターを利用する際に「階数ボタン」と比べ、あまり注意を払われない存在の「開閉ボタン」。しかし、我々がボタンを意識せずともストレスなく利用できているのは、前出のフジテックの取り組みに見られるような、エレベーターメーカーによる企業努力の賜物である。

次回エレベーターに乗る際は、「開閉ボタン」のデザインに注目してみてほしい。


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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/しらべぇ編集部・秋山 はじめ 取材協力/フジテック

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2023年10月20日~2023年10月24日
対象:全国10代~60代男女975名 (有効回答数)

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