エレベーターの車いすボタン、時を遅らせる効果あった 現代人の「せっかちさ」が明らかに…
エレベーターに備わった「車いす」ボタンを押すと、通常のボタンと異なる挙動を見せることをご存知だろうか。ドアの開閉速度が変化するのだ。
我々の日常生活において、なくてはならない存在のひとつと言えるエレベーター。しかし、あまりに身近な存在ゆえに「じつはエレベーターのことをよく知らない」という人も少なくないだろう。
来たる11月10日の「エレベーターの日」に備え、今回は8割以上の人が誤解している「エレベータードアの開閉時間」について紹介したい。
【関連記事】エレベーター「ひらく」の対義語、ネット民の意見真っ二つに 今まで気にせず押していた…
画像をもっと見る
■エレベーターに存在する2種類のボタン
バリアフリーやダイバーシティといった考え方が重要となった現代。ふと周りを見回してみると、様々な配慮に気がつくだろう。
公共施設など、不特定多数の人が利用することを想定して設置されたエレベーターにも、多数の配慮が施されている。たとえば上写真のよう、エレベーター内の低位置に車いす利用者向けのボタン(以下、車いすボタン)が存在するが、読者諸君は「通常のボタン」との差異をご存知だろうか。
関連記事:エレベーターで見せた親切心、とんでもない悲劇に繋がる 「開く」を押したつもりが…
■約8割が「15秒かかる」
2つのボタンの違いは、ズバリ「開閉時間」である。通常のボタンを押した場合と比べ、車いすボタンを押した場合はドアが開いている時間が長くなるのだ。
そこで今回は、実際に車いすボタンを押した際にかかる「開閉時間」をめぐり、全国の10〜60代の男女975名にアンケート調査を実施することに。
「5秒」「10秒」「15秒」の3つの選択肢を用意したところ、5秒を選んだのはわずか3%。19.8%が10秒を選択し、77.2%が「15秒」と考えていることが判明したのだ。
しかし、回答者の大半が「実際に秒数を数えた経験がある人物」というワケではないだろう。そこで続いては、開閉時間を含む「車いすボタンの機能」について、エレベーターやエスカレーター、動く歩道の専業メーカー「フジテック株式会社」に話を聞いてみることに。
その結果、驚きの事実が判明したのだ…。
関連記事:エレベーター「ひらく」の対義語、ネット民の意見真っ二つに 今まで気にせず押していた…
■現代人、せっかち過ぎる説
取材に際し、フジテック担当者からは「当社では、乗場から乗車する利用者の有無、かごから降車する利用者の有無など、様々な場合に分けて、一般用ボタンを押した際に開く時間を3~6秒に調節しています」「車いす用ボタンは約10秒間ドアが開きます。車いすをお使いの方が安心して乗り降りできるよう、長く設定しています」との回答が。
つまり、8割近くもの人々が「実際以上に長い時間」を感じているのだ。現代はタイムパフォーマンス(タイパ)が話題に上がる機会が多いが…思わぬ部分で、現代人の「せっかちさ」を感じた思いである。
車いす用ボタンの機能について、フジテック担当者は「車いすをお使いの方が押しやすい高さに、ボタンを設置しています」「また、複数のエレベーターが稼働している際に車いす用ボタンを押すと、かご(エレベーター)内に鏡や車いす操作盤、手すりなどが設置された『車いす仕様』のエレベーターが優先的に呼び出されます」とも説明していたのだった。
こうした配慮は「ボタン」だけでなく、エレベーター後部に設置された「鏡」は、車いす利用者が降りる際の「バックミラー」としての役割を担っている。
「車いすボタン」が使用された際はスムーズな乗り降りができるよう、乗客ひとり一人が思いやりの心を持ちたいものだ。
関連記事:エレベーターで遭遇したボタン、その3文字に目を疑う 「何が起こるんだ…」と驚きの声
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
・合わせて読みたい→エレベーターで遭遇したボタン、その3文字に目を疑う 「何が起こるんだ…」と驚きの声
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
対象:全国10代~60代男女975名 (有効回答数)