エレベーターに響くブザー音、意外すぎる原因に驚き 「重量オーバー」でない場合も…
重量オーバーを意味するブザーが鳴った後、エレベーターに乗り直したら鳴らないケースがある。メーカーに尋ねると「傾き」や「衝撃」の影響と判明した。
我々の日常生活において、なくてはならない存在のひとつと言えるエレベーター。しかし、あまりに身近な存在ゆえに「じつはエレベーターのことをよく知らない」という人も少なくないだろう。
来たる11月10日の「エレベーターの日」に備え、今回はエレベーターの「ブザー音の秘密」について探っていきたい。
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■エレベーターのブザー音
混雑した電車と異なる緊張感が存在するのが、混雑したエレベーター。
ギリギリあと1人入れそう…という空間を見つけた際、電車であれば1名、下手をすると3〜5名が追加で乗車するものだが、場所がエレベーターとなると、躊躇する人は決して少なくないはず。エレベーターは電車と異なり「重量オーバー」の警告ブザーの存在が利用者の頭にチラつくためだ。
しかし、エレベーターのブザーの仕組みについて「しっかりと理解している」と言う人はかなり少数派だろう。今回は全国の10〜60代の男女975名を対象として、アンケート調査を実施することに…。
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■ブザーの法則、意外と見落としがち
エレベーター内では「定員」「積載」に関する数値が確認できるが、内部の総重量が表示されているワケではない。そのため、利用者はエレベーター内の人数や、他の利用者の風貌などから「ふわっとした総重量」を推測するしかないのだ。
そこで、まず「エレベーターのブザーが鳴るタイミング」に関する調査を実施したところ、全体の55.5%が「制限重量を超えたとき」と回答。残る44.5%は「制限重量の手前に達したとき」と回答していた。
いざブザーが鳴った際も、気になる挙動が1点ある。
読者諸君はブザーが鳴ったエレベーターで、最後に乗った人物がいったんエレベーターを降りて再度乗ると、なぜかブザーが鳴らずに動きだした…という状況に出くわした経験はないだろうか。
しかし一瞬で体重を減らすなど、格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場するキャラクターのダルシム(ある程度自由に身長・体重を可変)でない限りあり得ない。そもそもダルシムは空中浮遊ができるため、エレベーターを利用しない気もする…。
ちなみに、自身が最後に乗ったエレベーターのブザーが鳴った際の行動についての調査では、全体の90.6%が「降りて次のエレベーターを待つ」と回答。「一度降りてまた乗ってみる」と回答したのは、わずか9.4%である。性年代別の結果を見ると、女性より男性の方が「乗り直してみる」という回答割合が大きかった。
続いては前出のアンケート結果をもとに、エレベーターやエスカレーター、動く歩道の専業メーカー「フジテック株式会社」に、ブザーのルールに関する取材を敢行することに。その結果、知られざる仕組みが明らかになったのだ…。
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■「重量」以外にも重要なものが…
まずはエレベーターの「ブザーが鳴るタイミング」について。
フジテック担当者からは「建築基準法で、そのエレベーターに定められた積載の1.1倍の重量を超えたとき、またはその少し手前の重量でブザーなどの警報を鳴らすように定められています」「当社では、定められた積載の1.05~1.1倍になったら警報が鳴るよう、量り装置を調整しています」との回答が得られた。
つまりブザー音は「制限重量を超えたときに鳴る」ことが判明したワケだが、もう1点注目したい箇所がある。
フジテック担当者は「お客さまが奥や右、左に集中しているなど偏って乗っていたり、重たい荷物を積んだ場合などは、かご(エレベーター)が傾くなどの影響で量り装置の検出に誤差が生じ、より手前の重量で警報が鳴る場合もございます」とも補足していたのだ。
これは前出の「ブザーが鳴った後で乗り直すと鳴らない場合がある」現象に関連しており、こちらの仕組みについてフジテック担当者は「お客さまの立ち位置の変化によってかごの傾きが変わった場合、再び乗り直す際にそっと乗り込むなどして床への衝撃が少なくなった場合など、わずかな状態の変化でブザーが鳴らなくなるケースがございます」とも説明している。
つまり乗客の「総重量」が変わらなくとも、エレベーターが受ける「衝撃」や「傾き」といった要素が、ブザー音に影響を与えるケースが考えられるのだ。
とはいえ重量制限のブザーが鳴った際は、おとなしく降りるべき。フジテック担当者も「エレベーターに乗る際に重量オーバーのブザーが鳴ったら、次のエレベーターが到着するまでお待ちください」と、注意を喚起している。
また、同社のエレベーターならではの機能について「(フジテックでは)かご内の混雑状況を乗場にお知らせする『混雑度表示』をご提供しています。かご内の混雑状況を乗場のモニターに5段階で表示し、エレベーター到着前に確認できる機能です」「乗り込めない可能性を事前に察知することによるストレスの軽減や、混雑時には階段を使うなどの選択肢も増えるため、便利で自由なエレベーター利用の手助けとなります」と、紹介していた。
細かい点までユーザーの快適な移動を実現させた現代のエレベーター。今後も「さらなる快適さ」を追求した、驚きの進化を見せてくれることだろう。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/しらべぇ編集部・秋山 はじめ 取材協力/フジテック)
対象:全国10代~60代男女975名 (有効回答数)