唯一無二の刀剣を仕上げる「柄巻」の世界 若き職人・弥仙さんは脱サラして刀づくりに燃える
もはや国宝級の技術力。現代に存在する柄巻師の仕事とは?
漫画やゲームなどのジャンルで近年人気となっている「日本刀」。そんな日本刀だが、その美しさを際立たせる“とある部分”を日々作る職人が存在する。ネットではその職人による投稿が話題を呼んでいて…。
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■あのかっこいい「握る部分」
「私の作品もっと沢山の人に広がれ祭り」というハッシュタグと共に「日本刀の持つところ作ってます!」とコメントを添え、日本刀の柄巻(つかまき)の写真を投稿したのはX(旧・Twitter)ユーザーの「ayaya(柄巻師 弥仙)」さん。
素人視点では、そもそも日本刀の持つ部分だけを作っている職人がいることを想像したこともなかったが、投稿写真を見ているとまさに芸術。グリーンカラーが鮮やかな紐、そしてその中心部にはダイヤ型の空間が作られており、その奥には装飾品である「目貫(めぬき)」が見えている。思わずため息が出るほど魅力的だ。…こうしてみると奥が深そうだ。素晴らしい技術である。
日本刀の持つところ作ってます!! #私の作品もっと沢山の人に広がれ祭り pic.twitter.com/xVyNzI8JEz
— ayaya(柄巻師 弥仙) (@ayaya1001) November 9, 2023
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■「この曲線美たまらん…」と反響
老若男女を思わず感激させた令和に生きる柄巻師の確かな仕事。
その美しさに魅了されたXユーザーは多く、「美しい柄巻き」「この曲線美たまらん…」「キレイすぎて見惚れる」と反響。目貫が気になった声も多く「チラッと見えるのがたまらなく魅力的です」「美しいですね…」と絶賛されていた。
記者は、そんな投稿者・弥仙さんを取材した!
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■巻き方も多種多様
日本刀を持つところを「柄(つか)」と言う。それを作り、刀を仕上げる職人が柄巻師であり、柄は日本刀を操る上で大変重要な役割を果たしている。「柄巻は正絹(しょうけん)、木綿、鹿革などいろんな素材で巻かれ、巻き方も多種多様でとても面白いです」と弥仙さんは柄巻師の奥深さを説明する。
昔は完全分業制で柄巻師はその名の通り柄に巻きを施す職人だった。現代では朴(ほお)の木を削って柄下地を作る、柄に鮫皮を着せるということもしているそうだ。
「柄だけでなく拵え(こしらえ ※日本刀の外装)を手掛けることもあり、業務の幅が広い仕事だと思っています」(弥仙さん)。
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■数少ない現役「柄巻師」
そんな柄巻師。記者が独自に調べてみると、現在日本全国には30人前後しかいないそうだ。
現在、日本刀は①居合道など武道で使うケース、②美術品としてのコレクションされるケースの2通りが主な用途で、「①については最近アニメやゲームで日本刀を持つキャラクターが増えたことから剣道や居合を始める方が増えたと聞いており、柄巻を依頼されることも増えたと考えております。②についてもアニメやゲームを通じて日本刀が好きになった若い方が増え、そういう方が日本刀を所有するようになり、それに伴う依頼も増えてきたと感じております」と弥仙さんは明かす。
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■脱サラして…
では、弥仙さんが、柄巻師になられた理由は何だったのか?
「自分はもともと武道をしており、日本刀を使って稽古をしておりました。そこから日本刀に興味を持ち、武道仲間を通じて柄巻師の先生を紹介していただき柄巻を始めました。どんどん柄巻にのめり込んでしまい、今では脱サラして柄巻師をやらせてもらっています」(弥仙さん)。
仕事の魅力や、やりがいは?
「柄巻は糸の色、種類、巻き方など多岐にわたり、その組み合わせは無限大で同じ出来のものは2つとなく、どれも唯一無二のものになります。そんな無限の可能性の中からお客様のご要望にお応えし、お客様が望むものを制作することにやりがいを感じています。完成した柄巻に満足していただけるととても嬉しくなり、この仕事をしていて本当に良かったと思います」(弥仙さん)。
武道を通じて日本刀と触れ合い、柄巻の魅力にのめり込み、今ではその制作に大きなやりがいを感じて柄巻師を続けている弥仙さん。これからも、その素晴らしい伝統を受け継ぎ、後世にしっかり技術を残していく。
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(取材・文/Sirabee 編集部・黒森ぬぬ)